企業がエンジニアを採用できない15の理由
エンジニア採用を支援している弊社の経験上、企業がエンジニアを採用できない理由は大きく分けて以下の15個のいずれかに当てはまります。
- WEB業界・IT市場そのものの成長
- エンジニアの数が圧倒的に少ない
- 「売り手市場」で人材の流動性が低い
- IT技術の変化が激しい
- 採用計画と事業計画が結びついていない
- 求める人物像/ペルソナが明確になっていない
- 採用コンセプトが決まっていない
- 求職者に対する求人内容が適切でない
- 競合と差別化ができていない
- 選考スピードが遅い
- 応募者のスキルを見極めるのが難しい
- 採用担当者のエンジニアリングに対する知識が不足している
- 開発技術以外のスキルチェックの不足が生じやすい
- エンジニアが入社したいと思える社内の組織体制が整っていない
- エンジニアが知りたい情報が届いていない
一部外部要因(自社で対処が難しい要因)もありますが、多くの企業のエンジニア採用の支援をしていく中で、特に5~15番に当てはまる企業は早急な対処が必要です。
まずは、それぞれ確認していきましょう。
1.WEB業界・IT市場そのものの成長
ソーシャル、ゲーム、EC、スマホアプリ……と、どんどんITを活用する事業分野が拡大しているのが背景としてあります。
WEBアプリベースのサービスも増えていたり、SaaS、IoTなど、幅広く多くの業界やサービス・商品がIT技術と切り離せないものになってきました。
その結果としてIT技術者を求める業界・会社・市場が大きく増えており、IT技術者の人材不足となっているのです。
特に「働き方改革」を契機とした業務効率化システムや、ソフトウェア、ビジネスサービスなど今後もIT市場の拡大が見込まれます。IT市場の成長に対して、人材の育成・供給が間に合っていない状況になっています。
2.エンジニアの数が圧倒的に少ない
経済産業省は2019年3月に「IT人材需給に関する調査」と題した報告書を公開しました。この報告書には、IT人材の需要と供給にギャップが生じていることやIT需要構造の変化によってIT人材が不足していることが記されています。また、今後のIT人材不足を補うために、AIの活用や先端技術に対応した人材育成が必要であるとの指摘もされてます。
経済産業省がこの報告書で示したデータによると、2021年のIT人材の不足数は31万人、2022年は32万人と右肩上がりで増え続け、2030年にはその数は約45万人に上ると推測されています。
このような予測を受け、政府は小学校のカリキュラムでプログラミング教育を必修化するなど、将来のIT人材確保へ向けたさまざまな取り組みを実施し始めました。政府が懸念を抱き取り組み始めているということからいかに人材の不足が問題になっているのかがわかります。
3.「売り手市場」で人材の流動性が低い
エンジニア職は「売り手市場」であるため、優秀な求職者ほど高い待遇で採用される傾向にあります。現在所属している企業の待遇や職務に満足している場合、それほど頻繁に転職することはないでしょう。またエンジニアでも多くの方がフリーランスとして企業や組織には属さず仕事をしているケースが多いです。そのため、エンジニアの人材採用は難しく年々採用コストは高騰しています。
エンジニア業務の重要性を理解している企業であればあるほど、エンジニアに定着してもらうために色んな施策を展開しています。採用での魅力づけだけでなく、入社後のモチベーションや機会の提供によるEX(従業員体験)向上にも力を入れています。
4.IT技術の変化が激しい
IT技術、プログラミング技術の変化が激しいことも採用が難しい一つの要因となっています。
IT業界では技術の変化・進化が激しく、技術を一つ習得したと思えば、その技術が廃れていくという状況も頻繁に起こります。常に学習や最新の技術のキャッチアップが求められるため人材のスキル習熟がそれに追いつけずに、市場や企業が求めるスキルに合致したレベルや内容に追いついていないことから、エンジニアが不足しているという状況になっています。
5. 採用計画と事業計画が結びついていない
人事・採用担当者と事業部の間で連携が取れていないと、今後の会社にとって適切な人材を確保するのが難しくなります。
また仮に入社しても、その新入社員が入社をするに至った自身の求める将来像と、事業側の求める役割の間でミスマッチが生じ、早期退職につながってしまいます。
そもそも自社がどのような事業展開をしていくのか、その計画に基づいた組織戦略、そして最後に採用戦略に降りてくるイメージです。
採用の目的はあくまでも事業を伸ばすためです。リーンキャンバスなどを駆使して事業のメカニズムを理解する必要があります。
6.求める人物像/ペルソナが明確になっていない
これは企業側の課題としてよく生じていることです。求める人物像が明確でないと、自社に合った求職者の見極めが難しくなります。例えば最終選考に残った候補が2人いるのに1人しか選べないといった場合、求める人物像が曖昧だと、最終ジャッジに時間がかかってしまいます。最近の採用市場では、こうしたちょっとした意思決定の遅れが機会損失になりかねません。
エンジニアに限らず、採用活動において「ペルソナ」を設定することで採用広報や求人票の打ち出し方が明確になります。「自社のターゲットとなる候補者はどういった経験と人物特性を持っているのか」が明確でなければ施策が曖昧になってしまいます。
7.採用コンセプトが決まっていない
採用コンセプトが定まっていない状況の場合、「結局この会社ってどんな会社だったのかよくわからなかったな」となってしまいます。
採用コンセプトの策定に苦戦している、または採用コンセプトがない企業様から寄せられる悩みはこのような感じです。
・公募求人媒体で人が集まりにくい
・福利厚生を大きく打ち出しているが、求職者の興味がそこだけに寄ってしまう
・カルチャーマッチする人材が集まらない
・会社の広報をしたいがテーマが決まらない
・面接で候補者をアトラクトできない
逆に言うと、これらの課題は全て、「採用コンセプトをきっちり決める」ことで解決可能です。
弊社クライアント様の事例ですが、採用コンセプトを決めることによって得られた効果は以下の通りです。
・採用の方向性を社内で共有できたため、リファラル採用が加速した
・会社の魅力を再認識できて社員のカルチャーマッチ度が上がった
・福利厚生だけではなく、会社の理念や働き方に共感してくれる候補者が増えた
・社内外での広報用コンテンツが幅広くなった
・面接で候補者をアトラクトできるようになり、内定承諾率が上がり早期離職率が減った
採用コンセプトを決めることで、むしろカルチャーマッチした多くの求職者に会うことができるようになり、さらに魅力をしっかり伝えて「選んでもらう」選考ができるようになるのです。
8.求職者に対する求人内容が適切でない
求職者にとって、働く魅力が伝わる求人内容でないと、興味は湧きづらいものです。
ありきたりなことや直近の仕事内容とリンクしていなければ仮に応募が来ても、不信感を抱いてしまいます。
大前提ですが、文法がおかしい、写真が暗い、写真に社員が少ないなどすぐにでも改善できる内容が疎かになっていると求人の魅力を半減してしまうことに繋がりかねません。特に写真は第一印象となりうる影響度が高い要素です。
もう一度自社の求人票を見直してみましょう。
9.競合と差別化ができていない
多くの企業が悩んでいる「最終選考で他社にいかれてしまった」事態。 「競合と比較した際の自社の強みや魅力」が正確に打ち出すことができていないため生じます。 引く手数多のエンジニアにとって、求職者が「自社を選ぶ理由」を明確にできるよう、競合と差別化した自社の良さを伝えきれなければ、選考段階で他社に辞退されてしまいます。
また、採用における競合は事業競合のみではありません。採用市場を理解した上で、自社のポジショニングを明確にし、差別化していく必要があります。
10.選考スピードが遅い
「求職者がWEB求人から応募をした」という前提で、応募後にいつ折り返しの連絡が欲しいかについて、約40%の方が「翌日中」を選び、次いで「2日目以内(28%)」となりました。
「反応が良い方が信頼できるし、働きやすい職場だと思う」、連絡が遅いと感じるほど「不安になる」「信用ができなくなる」という意見が見られました。また、「返信の遅いような会社はいい加減な会社だと思う」「当日中に連絡が来ない企業・職場では働きたくない」もあり、応募者にスピーディに連絡することが面接や採用を成功させるためのポイントです。
選考スピードが遅くなってしまう原因としては、応募から採用決定に至るまでのステップが多いこと、もしくはステップが少なくてもジャッジに時間がかかり次の選考までに時間が空いてしまっていることが考えられます。
こうしたスピードが遅くなってしまうと「連絡がこないとは、落ちたということ?」など求職者に不安を抱かせてしまい、求職者目線の採用フローにはなっていません。また、他の企業がその求職者にアプローチをかける隙を与えてしまいます。
11.応募者のスキルを見極めるのが難しい
採用担当者の多くは人事系のキャリアを歩んできており、エンジニアとしての経験を持っていることは多くありません。そのため、現場が求める人材と採用担当者が選考を進める人材とのミスマッチが発生しがちです。
例えば、現場ではとにかく特定のプログラミング言語(Python、PHPなど)を用いた実務経験を持つ人材が必要で、日常的なコミュニケーションスキルは二の次でよいと考えているケースがあったとします。しかし採用担当者は、仮に経験やスキルには問題がなかったとしても、直接会話した感触から自社の文化に適合しないと判断して採用を見送ることもあるのです。
エンジニアの仕事には、専門的な知識や経験が求められます。ポテンシャルやコミュニケーション能力を重視する場合もありますが、それらを重視するより、現場で必要なプログラミング言語を扱えるか否かなどを重視することが多いでしょう。この点を採用担当者が認識していないと、ただでさえ応募者が少ないのに、現場が必要とする人材をいつまでも採用できないことになりかねません。
12.採用担当者のエンジニアリングに対する知識が不足している
採用がうまくいっていない企業の多くが現場の採用担当者のエンジニアリングに関する知識が不足しているケースです。
ただ採用担当が細かいスキルのチェックやレベルのジャッジをするのが現実的に厳しい場合は現場のエンジニアを巻き込みながらスキルのミスマッチが起きないようにしていく必要があります。
13.開発技術以外のスキルチェックの不足が生じやすい
エンジニアは他職種との連携やコミュニケーションも欠かせない職種です。
エンジニアリングスキルセットの確認に注力したがあまり、コミュニケーションやいわゆるソフトスキルの確認を見落としてはいけません。
候補者に対してどのようなコミュニケーションが求められるのか、あらかじめ自社で明確にしておく必要があります。
14. エンジニアが入社したいと思える社内の組織体制が整っていない
採用活動と組織開発は連動させるべきです。エンジニアを採用するためにはエンジニアにとって魅力的な組織である必要性があります。多くの企業が採用活動をしているため、その中でも魅力的に移るためにはエンジニアが開発に集中できる環境を整えることです。
一例)
・リモートワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方ができる
・エンジニアの実績を正しく評価できる評価制度が整っている
・エンジニアがビジネスサイドにも改善提案できるようなコミュニケーションラインがある
こちらの記事が参考になります https://note.com/unilabo_blog/n/n86dc13041d1a
15.エンジニアが知りたい情報が届いていない
エンジニア採用が上手くいっている企業の特徴として、有名なプロダクトを持っているか、地道にエンジニア採用広報を頑張っている企業かのどちらかです。多くの企業が短期的に成果を出す場合は、後者に注力することをお勧めします。
弊社でエンジニア採用でご支援している企業様で、肌感5割以上の候補者は、社員のインタビュー記事やテックブログを見てカジュアル面談や面接に挑みます。
そのため、コンテンツを拡充することはもちろん、スムーズに知りたい情報にアクセスできるかがとても重要になってきます。
優秀なエンジニアを採用するために今すべきこと
エンジニア採用がうまくいかない原因に当たりがついたら、早急に以下の見直しを始めましょう。
- 事業計画に基づいた採用計画の立案
- 人材要件を明確にする
- エンジニアリングに関する基礎的な知識をインストールする
- 現場のエンジニアを巻き込み、プロジェクト化する
- 候補者とのやり取りは即レスがベスト!
- 採用チャネルの最適化
実際に弊社のエンジニア採用に成功したクライアント様にもお伝えしている内容です。
自社の状況と比較しながら1つ1つ確認をしてください。
【エンジニア採用をするための前提としてすべきこと】
前提として従来の採用の考えからから採用CX(候補者体験)を意識した候補者との接点設計を考えていく必要があります。
採用CXに関しては、こちらの記事で詳しく解説しております。ぜひ参考にしてみてください。
▶︎ 候補者体験|採用CX(Candidate Experience)とは
▶︎ 候補者体験を向上させる採用CXとは?最終面接で競合に負けないために
事業計画に基づいた採用計画の立案
採用がうまくいかない企業の特徴として目先の数字だけを追ってしまっているということが多いです。
採用は事業成長のために行うものです。そのためには事業戦略に基づいた採用計画の立案が必須になってきます。とりあえずこの人スキルありそうだから採用しよう!ではいけません。技術や業務も日々変化していくなかで1年後、3年後、5年後、10年後にどのような事業を展開し組織になっていたいのかを明確にそこから逆算で採用計画を下ろしていかなければなりません。
焦って採用するのではなく、数年後を見据えた上でしっかり計画を立案していきましょう。
人材要件を明確にする
エンジニアに限らず、どんな職種でも自社が求める人材要件を明確にする必要があります。
今の事業や今後取り組んでいきたい事業からどのようなエンジニア(経験や特性)を具体化しなければなりません。
エンジニアの中でも様々な種類のエンジニアがいます。そのスキルや経験をもったエンジニアを採用したいのか現場とすり合わせしながら採用要件を明確にし、どのような仕事を任せていきたいのかを具体化しましょう。
スキルだけでなくマインドセットも明確にしましょう。スキルはある程度あるものの自己研鑽しないタイプの人が組織に入ってしまうと全体のレベルが低下してしまいます。そのためどういった学習習慣やキャリアステップを望んでいる人が自社に適しているのかを以下の項目で明確にしていきましょう。
エンジニアリングに関する基礎的な知識をインストールする
エンジニアはその求められる能力の多さが特徴であり、単純な開発スキルや実績での判断は危険です。
そのため、まずはIT業界や開発業務とはどういうモノなのかを人事が知っておくことはとても大切なポイントになってきます。
採用担当者であれば最低限以下の用語は知っておきましょう!
エンジニアリングに関する知識
システムエンジニア
提案から設計・開発・テストまでの一連の流れに関わる
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体をマネジメントする
プログラマー/コーダー
プログラミングを行い、機能を実装していく
インフラエンジニア
サーバー構築やネットワーク管理、クライアント端末の設定などITインフラを担当する
サーバーサイドエンジニア
サーバーの設計や構築、運用や保守などを専門的に担当する
フロントエンドエンジニア
Webサイトの閲覧や操作などのユーザーが直接見たり、触れたりする部分を開発する
バッグエンドエンジニア
プログラムの開発からWebサーバー、データベースといった環境整備までユーザーから見えない部分を担当
セキュリティエンジニア
サーバーに関連する業務や情報セキュリティを専門
ITエンジニアの使用言語
ITエンジニアの使用言語ランキングは以下となっています。
参照:プログラミング言語人気ランキング2020(日経×TECH)
1位:C/C++
2位:Python
3位:JavaScript
『C』の特徴
OS開発の際に役に立つ言語です。汎用性が高く、非常に多くの分野で採用されています。
様々な言語の元になっており、元祖プログラミング言語とも呼べる言語です。開発が今なお続いている現役の言語です。
C言語で学習した内容は、大抵の言語で通用します。C++はC言語の上位互換なので、相性が良いと言われています。
『C++』の特徴
C言語のプログラミングを経験した方々が夢に見た理想を具現化したような言語です。数多くの理想を具現化したため、それを使うには膨大な知識と学習にかける時間が必要に。しかし、多くの人に支持されているのも事実です。
『Python』の特徴
CやC++と仲が良く、何でもそれなりにこなすことができ、C言語やC++のライブラリも利用可能。
データ解析や自然言語の解析など数字を扱うことも得意としていて、分析を任されやすい傾向にあります。
少ないコード量でかつ簡潔に記述ができ、生産性、保守性が高く海外では頻繁に利用されている言語です。
『JavaScript』の特徴
Web開発において幅広く利用されており、初心者からヘビーユーザーまで愛用しています。
JavaScriptというプログラミング言語を動かすことで、ブラウザ上で画像を拡大表示して見やすくしたり、入力フォームを設置してメッセージを送付できます。
現場のエンジニアを巻き込み、プロジェクト化する
採用時と入社後のギャップを減らすためには人事担当者の努力だけでは十分でありません。現場スタッフの積極的な協力があってこそ、必要な人材の採用が実現します、
採用担当と現場のエンジニアが同じ言語/目線で採用活動に取り組んでいく必要があります。基本的なマインドセットは採用担当者が確認して、具体的なスキルセットや現場とのマッチ度は現場のエンジニアも巻き込みながら確認していきましょう。
エンジニア側も一緒に働くメンバーを自分たちで選ぶ・見るといったときに今まで以上に積極的に取り組んでくれることでしょう。また協力的ではない場合に関しては、なぜ採用が必要なのか?採用することによってどのような事業成長が見えるのかといった部分を社内向けに訴求することが重要です。
またエンジニア採用に成功している企業の人事の方にヒアリングした所、こちらの企業では「ハイヤリングマネージャー」というポジションを置き、マネージャーに内定承諾率のKPIを置いていました。そうすることで採用は人事だけでなく社内でも熱量高く行うことができるそうです。
候補者とのやり取りは即レスがベスト!
応募者は複数の求人に応募するものと認識し、応募者へ真摯な対応をすることが求められます。
企業からの折り返し連絡は早いほど応募者にとって印象が良い。逆に遅ければ応募者を逃すだけでなく、「信用できない」と見なされる。応募者への連絡をスピーディに行うことが採用を成功させるための鍵となる採用はスピード命!
「他社での選考が通過した・内定が決まった」という辞退理由があるように、他社よりも早く選考を進めて、内定を出すことは重要なポイントです。
いい人材を採用したいのは他社も同じ。だからこそ選考のスピード感や連絡が遅い場合、それだけで同じターゲットを狙っている他社から一歩出遅れる形になってしまいます。
一般的には中途採用の場合、約30%の企業が「応募から2週間以内」に求職者へ内定を伝えています。
加えて約90%の企業が「応募から1ヶ月以内」で内定を出す、といわれているからこそ、少なくとも選考に1ヶ月以上かかっている企業は選考フローの改善が必要です。
採用チャネルの最適化
そもそも採用チャネルにどういったものがあるのかもしっかりと理解しておく必要があります。
ナビ媒体でうまくいかない…といって従来の採用活動をそのまま続けていませんか?
採用は一つのチャネルだけではなかなかうまくいきません。
様々なチャネルの入り口を設け候補者との接点を増やしておきましょう。
採用チャネルの活用は掛け算でうまくいくケースがあります。
例えば採用広報記事をたくさん書くからといって応募が増えるわけではありません。
ちゃんと候補者の元に届ける必要があります。
そこで採用広報記事×SNSといった具合でいろんなタッチポイントを増やして少しでも候補者との接触を増やせる仕組みを作っていくことが重要です。
【エンジニア採用の戦略設計段階にすべきこと】
自社のエンジニアに入社を決めた理由をヒアリングする
既に入社している自社の社員が一番貴重な生の声です。自社をなぜ選んだのかアンケートを取り、ヒアリングしてみましょう。人事側では気づいていない自社の魅力が見えてくるかもしれません。 下記項目をヒアリングするのはオススメです。
- 応募のきっかけ、理由
- 他に選考を進めていた企業
- 内定承諾を決めた理由
- 候補者にとって自社の魅力
- 候補者にとって自社の課題
自社の魅力を整理する
「うちの会社は魅力がないんです…」
「他の会社に勝てるようなエンジニアさんを惹きつけられる魅力がなくて…」
こういった声をよく聞くことがあります。
求職者から選ばれない要員として、「魅力が伝わらない」ことが多くの企業で起きていますが、実は気づいていないだけで「候補者体験が悪い」か「そもそも魅力がない」ケースも多く見受けられます。
まずは自社の魅力を4Pで整理し、ターゲットになる候補者に刺さるコンセプトやメッセージングをしていきましょう。また自社にそもそも魅力がないというケースの場合、今後の事業成長がどうなっていくのかを明確にし、その実現したい世界観で候補者から共感が得られるように企業としての将来像の魅力を伝えていきましょう。
最後に、創るべき魅力は明確にしたもののそれらを具体的にどう進めていくのかという部分を解説します。
上記( 創っていくべき強みの整理 )で出た、創るべき魅力を具体的な施策に落とします。
このあたりは企業によってかなり打ち手が変わると思うので、下記を参考にto doまで降ろしていきましょう。
在籍エンジニアに対して、社会的意義を持ったプロダクトに関わっていることの自覚醸成
・世界観の具体化・サービス企画部門に目指す世界観の言語化依頼
・施策の背景説明インナーブランディングに向けた施策設計・オープン社内報としてnote活用
・広報チームがライティング
・ライティング依頼
・施策の背景説明
・具体的な記事テーマの設計従業員の浸透率をES調査・ES調査項目の決定
・調査頻度の策定
ターゲットとペルソナを明確にする
エンジニアに限らず、どんな職種でも自社が求めるペルソナを明確にする必要があります。
今の事業や今後取り組んでいきたい事業からどのようなエンジニア(経験や特性)を具体化しなければなりません。
エンジニアの中でも様々な種類のエンジニアがいます。そのスキルや経験をもったエンジニアを採用したいのか現場とすり合わせしながら採用要件を明確にし、どのような仕事を任せていきたいのかを具体化しましょう。
スキルだけでなくマインドセットも明確にしましょう。スキルはある程度あるものの自己研鑽しないタイプの人が組織に入ってしまうと全体のレベルが低下してしまいます。そのためどういった学習習慣やキャリアステップを望んでいる人が自社に適しているのかを明確にしていきましょう。
採用コンセプトを設計する
採用コンセプトを明確にすることで、自社にマッチした人材からの応募が増え、他者との差別化を測ることで自社により興味の高い候補者を惹きつけることができます。
社内で頻繁に使用されている単語や自社の求める人材に刺さりそうなワードを考えていきましょう。
ポイントは5つ。
①Simple(明解性):わかりやすいか?
②Originality(差別性):他との違いは?
③New found(新規性):新しさがあるか?
④General(普遍性):陳腐化しないか?
⑤Sympathy(共感性):共感できるか?
この5つを意識することでコンセプトがより明確で伝わりやすくなります。
以下は弊社のこれまでの経験を踏まえた上での、具体的なワーディングです。ぜひ参考にしてください。
【採用コンセプトワーディングの5つのポイントと具体例】
またコンセプトのフレームワークとして「PI-CODE」がおすすめです。
下記は、「PI-CODE」の各項目の一例です。
PURPOSE
パーパスやミッションは候補者への共感を生み出すたし、候補者が自社を選ぶ「意味」と「意義」を創出することができます。
ISSUE
自社の課題をあえて公開することで、候補者の課題解決思考を刺激し、応募意欲を促進することができます。
CULTURE
自社独自の企業文化は他者との差別化要素になり、自社を選ぶ理由になります。
OPPOTUNITY
自社に入社することで得られる会社的、業務的、組織的機会などの挑戦機会をアピールし、入社意欲を向上させます。
エンジニアをグリップするCX施策を設計する
採用戦略全体をCXに基づいて設計することが重要です。CX戦略を整理するにはキャンディデイトジャーニーマップにてタッチポイントを整理し、優先順位をつけながら施策に取り込んでいくのがオススメです。
【エンジニア採用の認知-応募-選考段階にすべきこと】
認知:SNSや採用広報記事を通して自社を知ってもらう
まずは自社のことを少しでも候補者の方に知ってもらう必要があります。
今すぐの採用に繋がらなくても、自社とのタッチポイントを増やしておくことで、いずれ候補者の方が転職をしようか考えた時に第一想起で思い出してもらうためです。
自社の認知度を向上させるというのは1日にして成し遂げられるものではありませんが、今は大手企業でなくても一人の社員によって会社が注目される(UGC効果)ことも増えてきました。
採用広報記事やSNSも活用し、自社の認知度を向上させていきましょう。ここでも現場のエンジニアとの連携が必要です。日頃からエンジニアリングについて発信しているメンバーとタッグを組んでいくことが重要です。
認知: テックブログを開設する
経験者のエンジニアにとって情報収集のチャネルとなるテックブログ。初めは技術のレベルが高い企業から学ぶためのインプットツールであったものから、転職先の候補になることもあるそうです。「テックブログを読んでエンジニアに積極投資していく会社だと思った」ということが応募のきっかけにも繋がるようですね。現場のエンジニアとの協力が不可欠なので、しっかり働きかけていきましょう。
有名なところだと、GMOペパボ社のペパボテックブログやクックパッド社のクックパッド開発者ブログが挙げられます。
認知:エンジニア向けのミートアップや勉強会を企画する
エンジニア向けのミートアップや勉強会もオススメです。転職潜在層にとって「企業の説明会に参加する」というハードルは高いですが、「技術について他社のエンジニアからも学んでいきたい」と考えている方はいます。まずは転職潜在層も含めて接点を増やすための施策としてミートアップや勉強会は効果的です。
認知、応募:適切な採用チャネルを選定する
そもそも採用チャネルにどういったものがあるのかもしっかりと理解しておく必要があります。ナビ媒体でうまくいかない…といって従来の採用活動をそのまま続けていませんか?採用は一つのチャネルだけではなかなかうまくいきません。ですから、様々なチャネルの入り口を設け候補者との接点を増やしておきましょう。採用チャネルの活用は掛け算でうまくいくケースがあります。
例えば採用広報記事を多くリリースしたからといって応募が増えるわけではありません。適切に候補者の元に届ける必要があります。そこで採用広報記事×SNSといった具合でいろんなタッチポイントを増やして少しでも候補者との接触を増やせる仕組みを作っていくことが重要です。
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認知、応募:スカウトメールのPDCAを回して、魅力的な文章を作成する
スカウトメールは短いスパンでPDCAが回せる採用施策です。1週間ほどのスパンで文章を検証しながら魅力的な文章を模索していきましょう。自身にエンジニアの知識があまりない場合は現場のエンジニアにレビューしてもらうのもオススメです。
エンジニア目線で魅力的なスカウト文を作成できるように工夫していきましょう。
認知、応募:エンジニア向けの採用ピッチ資料を作成する
特に優秀なエンジニアを採用したい場合は職種特化の採用ピッチ資料を作成しましょう。エンジニアメンバーのバックグラウンドや開発環境、開発に対する自社のマインドなどを採用ピッチ資料で公開することでエンジニアに対する認知が上がり、候補者の獲得及び選考段階のグリップに繋がります。
例えばキャディ社では「CTOからの手紙」というスタイルで採用ピッチ資料を公開し、エンジニア採用に繋げています。
その他、採用ピッチ資料の事例をもっと見たい方はこちらの記事もご覧ください。更に多くの採用ピッチ資料事例を記載しております。
選考:候補者のやり取りをスムーズにできる体制を作る
応募者は複数の求人に応募するものと認識し、応募者へ真摯な対応をすることが求められます。
企業からの折り返し連絡は早いほど応募者にとって印象が良い。逆に遅ければ応募者を逃すだけでなく、「信用できない」と見なされる。応募者への連絡をスピーディに行うことが採用を成功させるための鍵となる採用はスピード命!
「他社での選考が通過した・内定が決まった」という辞退理由があるように、他社よりも早く選考を進めて、内定を出すことは重要なポイントです。
いい人材を採用したいのは他社も同じ。だからこそ選考のスピード感や連絡が遅い場合、それだけで同じターゲットを狙っている他社から一歩出遅れる形になってしまいます。
一般的には中途採用の場合、約30%の企業が「応募から2週間以内」に求職者へ内定を伝えています。
加えて約90%の企業が「応募から1ヶ月以内」で内定を出す、といわれているからこそ、少なくとも選考に1ヶ月以上かかっている企業は選考フローの改善が必要です。
- 成果主義、自由な働き方を実現する人事制度を作る
- 転職潜在層をターゲットにした採用広報戦略を設計する
【エンジニア採用の内定-入社段階にすべきこと】
内定:印象に残る内定通知を行う
内定通知にも工夫が必要です。内定通知は受験の合格発表のように感動的に行いましょう。メールのみでの内定通知は印象に残りづらいです。
自社の特徴やコンセプトを活かした通知のほうが企業の熱意が伝わります。一生の思い出に残る感動的な内定通知を演出しましょう!
HeaRでは、
- サッカーが好きな候補者には「メッセージ入りサッカーボール」をプレゼント
- 体験入社後の食事会で「メッセージ入りケーキ」をサプライズプレゼント
- 社長との食事会で「シャンパンで乾杯(内定通知)」を演出
などを行ってきました。
他にも
- 人事から手紙やビデオメッセージを送る
- 候補者を呼び出しサプライズで内定通知をする
- 内定者1人ひとりに合った本をプレゼントする
といったやり方もオススメです。
内定、入社:入社前に業務体験してもらう
新卒の方であれば、内定後そのまま長期インターンとして活躍してもらうのもオススメです。中途採用の場合は業務委託契約でジョインしてもらいましょう。
また事業を推進するメンバーが増えるため、事業成長の観点でもオススメです。この期間オンボーディングを完了しておけば新入社初日からスムーズに業務へ移行できます。
入社:疑問や不安を漏れなく解消する
候補者は入社することに対して様々な疑問や不安を抱きます。
■人間関係に対する不安
「一部の社員にしか会ったことがない…」「自分が配属される部署のメンバーはどんな人だろう…」「オンライン面接で内定を貰ったから、職場の雰囲気が分からない…」
■業務内容に対する不安
「1日のスケジュールを知りたい…」「自分は通用するのかな」「成果を残せなかったらどうしよう…」
■働く環境に対する不安
「実際の働き方を知りたい…」「ちゃんとお休み取れるのかな…」「社内のコミュニケーションツールって何を使っているんだろう…」
■周囲の意見に対する不安
「ベンチャーを家族に反対されたけどどう説明しよう…」「口コミを見てしまったけど、リアルを知りたい…」
不安の多くは入社後に働き始めてみないと解消できませんが、入社前にできるだけ取り除いてあげることが理想的です。入社に関する不安をしっかり解消することで内定ブルーを防ぐこともできます。
入社:エンジニアが開発に集中しやすい組織文化を作る
入社後にエンジニアが開発に集中できる仕事環境や組織文化を整えておくことは入社後のエンゲージメントを高めることは勿論、自社の認知拡大や応募率向上にも繋がります。
- リモートワークやフレックスタイム制を導入した柔軟な働き方
- 開発言語がモダンでスピード感のある開発ができる
- ビジネスサイドとの頻繁なコミュニケーションが取れる
- 社内勉強会や書籍購入制度などインプットできる機会が多い
- 社内に優秀なエンジニアが在籍しており、いつでも学ぶことができる
- エンジニアのことを理解した評価制度が整っており、キャリアアップが望める
こういった要素はエンジニアにとって非常に魅力的に移ります。採用活動を最適化していくことはもちろん、エンジニアにとって「選ばれる」自社の文化を醸成していきましょう。
エンジニア採用ができない企業が陥る状態と解決策
最後にエンジニア採用ができない企業が陥る状態とその解決策について、ステップに分けてご説明します。
ここは全て解決しなければならない項目です。一つでも該当する場合は必ず解決していきましょう。
人材エージェントから紹介が来ない
人材エージェントは採用コストは上がりますが、スピード感を持って採用できる手法として用いられます。しかしエンジニア採用が上手くいっていない企業は人材エージェントに依頼したとしても、応募が来ないケースもあります。
解決策
①エージェントから「なぜ紹介できないのか」ヒアリングをし、原因を特定する
②エージェントと打ち合わせをし、採用ピッチ資料等を用いて魅力の打ち出し方をすり合わせる
③エージェントからリアルタイムで求職している候補者のブラインドレジュメをもらい、採用要件をすり合わせる
④それでも難しい場合はエンジニアに強いエージェントと新しく契約する
求人媒体に出稿したが応募が来ない
求人媒体は掲載型課金が多い採用チャネル。掲載したものの応募が来なければコストになってしまいます。打ち出し方を工夫し、応募を集めていきましょう
解決策
①アクセス数、応募数を分析し、原因を特定する
②求人の打ち出し方を変え、PDCAを回す
スカウトメールに返信が来ない
エンジニア採用ではダイレクトリクルーティングを活用している企業も多いと思います。優秀なエンジニアであれば一日10件以上のスカウトメールが届くと言われている昨今。しっかり工夫して「見られるスカウト文」を作成しましょう
解決策
①スカウト送信数、開封率、返信率を分析する
②スカウトの文章を工夫し、返信率向上を狙う
③2,3回再送し、候補者をナーチャリングする
④採用広報記事や採用ピッチ資料をスカウトメールに添付する
選考を進める中で他社に流れてしまう
優秀なエンジニアであればあるほど、一度に複数社の選考を進めているものです。自社の魅力をしっかりと整理し、候補者をグリップしていきましょう
解決策
①採用ピッチ資料を作成し、候補者に魅力づけをする
②選考スピードを早め、候補者の意向を上げる
③CX施策を向上させ、候補者のしっかりグリップする
入社してから離職してしまう
せっかくエンジニアを採用しても短期で離職してしまうと採用の苦労が水の泡です。エンジニアにとって「選ばれ続ける会社」になるためには、採用と平行して組織開発を進めていくことが重要です。
解決策
①内定後のオファー面談で期待値の調整をする
②選考過程の段階でミスマッチを防ぐため、魅力も課題もオープンに伝えていく
その他、エンジニア採用に必要なノウハウが無料DLできます!ぜひ参考にしてみてください
最後に
今回の記事では「エンジニア採用が難しい理由」と「エンジニアを採用するためにすべきこと」というテーマで書きました。優秀なエンジニアを採用するためには採用活動全体をアップデートする必要がありますし、採用だけではなく自社の組織開発も並行して進めていく必要性があります。HeaRではエンジニア採用に悩まれる多くの人事の方の課題を解決してきました。エンジニア採用について困っている方はぜひHeaRにご相談ください!
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参考記事
・日経 xTECH/日経SYSTEMS,『プログラミング言語人気ランキング2020、2位に「大躍進」したあの言語』,(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01068/111100001/) 2019.11.18,2020年11月20日参照
・経済産業省『IT人材需給に関する調査』(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf)2019年3月,2020年11月18日参照