採用CXとは?設計方法を選考フェーズ別にご紹介
1. 採用CXとは?
「CX」と聞くと「Customer Experience(顧客体験)」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、「採用CX」における「CX」は「Candidate Experience(候補者体験)」を意味します。
候補者が企業を認知した段階から実際に選考を終えるまでのあらゆるタッチポイントに着目し、入社までの一連のプロセスにおける候補者の体験をより良くすることです。候補者全員が「(採用の合否に関わらず)この企業を受けてよかった」と感じてもらえることが重要となります。
・CX向上タッチポイント158項目
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2. 採用CXに注目が集まる背景
まだ日本国内では浸透していない採用CXの概念ですが、既に海外では多くの注目を集めています。続けて日本で採用CXが注目される背景についてご説明します。
①人口減少による有効求人倍率の上昇
日本の人口は総務省統計局の調査によれば、2008年の1億2,808万人をピークに、減少の一途をたどっています。2060年には9,000万人を下回るとも予測されています。労働人口が減少することによって、企業間の人材獲得競争も激しさを増すことでしょう。企業はこれまで以上に候補者から選ばれる必要が出てきました。
②終身雇用制度の崩壊
トヨタ社や経団連の会見で「終身雇用は難しい」との発言がありました。終身雇用制度の崩壊により、人材の流動性が高まっています。これまで人材獲得に悩まなかった大企業ですら、入社してもらうためにさまざまな活動を行なうようになりました。自社が選ばれ続けるため、自社に転職してもらうための活動の重要度が増しています。
③インターネットの普及に伴う採用の透明化
OpenWorkやワンキャリアのような従業員の口コミサイト、TwitterなどのSNSが登場したことで、各企業の選考に対する情報も透明化される時代になっています。
実際に、第三者の口コミをもとに選考を受ける企業や入社する企業を決定する人も増えてきています。
リアルな情報や声が簡単に手に入る世の中だからこそ、企業側が求職者に悪い印象を与えることはリスクとなりますので採用CXの重要性が高まってきているのです。
④コロナ禍においてオンライン戦略の重要性が増した
新型コロナウイルスの感染拡大により、採用活動全体がオンライン化しました。リアルで候補者と会えないケースが増えてきた分、オンラインでどれだけ候補者体験を高めるかが採用活動の一つの重要なテーマになっています。
対面の採用CXよりも、オンラインで「この会社の選考を受けて良かった」と思っていただけるような候補者体験のデザインが求められています。
3. 採用CXに取り組むべき3つのメリット
ここまでの内容を踏まえて、採用CXに注力する3つのメリットについてご紹介します。
①応募数を増やすことができる
消費者行動において顧客体験の良かったサービスは実際に体験したユーザーからSNSにて口コミとして拡散されます。実は採用CXにおいても同じことが言えます。選考を受け、採用CXが良かったカジュアル面談、面接を体験した候補者はSNSで拡散をします。候補者はそういったSNSの投稿を見て、「あの会社のカジュアル面談は候補者のキャリアに向き合ってくれる」という評判が生まれ、応募者が増えます。
特にエンジニア人材はリファラル採用で動くケースも多いため、採用CXを高めることで今まで接触できなかった優秀層と接触できるようになります。
② 選考中の離脱を防ぐことができる
スキルの高い優秀な人材であればあるほど、複数企業の選考を同時並行で進めることも珍しくありません。当然候補者は意思決定の際に同時に選考を進めている会社と比較をするようになります。
もちろん企業規模や募集ポジション、条件によっても比較されますが、採用CXが良い企業の選考は辞退されにくい傾向にあります。良い選考体験を提供できればできるほど「この会社の話は最後まで聞いてみよう」と思っていただけるようになります。
③採用後のミスマッチを防ぐことができる
採用CXは候補者に対してポジティブな体験を提供するだけではありません。自社の魅力も課題もオープンに伝え、誠実に候補者と向き合ってこそ本来あるべき採用CXが実現できます。
候補者は企業が抱えている真の課題を知りたがっています。課題を認知して入社することで入社後のギャップが少なくなり、採用後のミスマッチを防ぐことができます。
4. 採用CXを設計するための4Step
①選考フェーズごとの歩留まり率を算出する
採用CXを設計するためにまずすべきことは現状分析です。認知~応募~選考~入社に至るまで現状の歩留まり数値を算出し、課題点を明確にしましょう。採用におけるボトルネックをクリアにし、最も解決すべき課題から着手していくことで採用活動を効率的に改善することができます。
②3C/4P分析を活用し、自社の魅力を整理する
3C(Company, Candidate, Competitor)及び4P(Philosophy, Profession, People, Privilege)の観点で自社の競合との差別化及び魅力を整理しましょう。競合と比較した際に自社が取るべきポジショニングと自社が打ち出すべき魅力を整理することで自社固有の採用CX戦略を設計できます。
採用マーケティング戦略を設計し、「どのような方向性で自社の採用を打ち出していくべきか」方向性を定めましょう。
・人事初心者向け!16時間で完成する採用マーケティング戦略
https://www.hear.co.jp/recruit/recruitingmarketing
競合分析は自社の採用状況や実際に入社した社員、他社の採用情報のリサーチなどを進め、複合的な情報から進めていくことが必要です。
・自社らしさで勝つための採用競合の分析方法とは
https://hear.co.jp/recruit/competitive-analysis/
候補者のキャリア課題を分類するフレームワークが「4P」です。キャリア課題を解決する企業側にとっては、自社の魅力を整理するフレームワークとも言えるでしょう。
・採用活動に必須のフレームワーク!4P戦略で候補者を惹きつける
③ターゲット、ペルソナを設計する
採用対象となるターゲット、自社の求める理想的な人物像のペルソナを明確にしましょう。求める採用対象の解像度が高ければ高いほど実行すべき採用CX戦略が明確になります。
④ペルソナに刺さる採用コンセプトを設計する
ペルソナが決まったら、ペルソナに響く採用コンセプトを設計しましょう。弊社HeaRの場合は「働くって青春だ」というコンセプトを設計し、各選考フェーズごとに青春を感じていただけるような選考設計をしています。
ペルソナはイメージだけではなく、活躍している現社員を基に設計しましょう。一般的なデータだけでなくライフスタイルや趣味なども加味して、具体的にイメージできるペルソナを設計すると採用戦略の方向性が具体的になります。
・ナントナクで終わらせない採用要件(ペルソナ)の策定方法
5. 選考フェーズ別オススメ採用CX施策
①無関心・認知フェーズ
候補者にとっては自社を「関心がない」「知らない」状態からスタートします。この段階においてはまず自社のことを認識してもらうことがゴールです。
そのため「自社のことを知らなくても見たくなるコンテンツ」を発信することが求められます。
具体的にはこのような施策がオススメです。
- 業界知見が身につくような採用広報記事を発信する例:海外のHRTechサービス○○を調べてみました
- 一風変わったクレイジーコンテンツよりの記事をSNSで拡散する例:自社の商談風景を全て公開しました!
- 経営者自らTwitterなどのSNSを運用し、独自のスタンスで意見を発信していく
- リスティング広告やディスプレイ広告を活用し、自社の採用オウンドメディアに誘導する
②応募・選考フェーズ
候補者に自社を知っていただいた状態から「もっと話を聞いてみたい」「選考を受けてもらいたい」と思っていただき応募に繋げます。その後は選考フェーズで離脱されないようにしっかりフォローアップしていきましょう。
- 候補者のSNSを調べ、徹底的にカスタマイズされたスカウトメールを送る例:あなたのnote記事を拝見し、採用は事業を伸ばすためにあるものだという考え方が、当社が求めるものに近いと感じました!
- 採用コンセプトを色濃く表した採用オウンドメディアや採用サイトで応募を促進する
- 面接前に採用ピッチ資料を送り、事前情報をできるだけシェアした上でカジュアル面談や面接を進める。
- カジュアル面談に来た候補者に対して真摯に向き合い、あくまでも候補者のキャリア課題に努める対話を心がける
- 面接の前に候補者のレジュメやSNSの発信を調べておき、関連した内容でアイスブレイクをする
- 選考に来ていただいた候補者に自社のカルチャーを感じられる選考を取り入れる例:あなたにとっての愛と青春について10分間プレゼンしてください!
無関心・認知フェーズに効果的な手法が採用広報です。フェーズごとに効果的な打ち出し方をすることで狙っている候補者からの認知を獲得しましょう。
・採用広報の成功事例8選!トレンド、KPI、メリットなどを徹底解説
https://hear.co.jp/recruit/saiyoupr/
採用広報コンテンツは意図を持って設計することで効果を発揮します。なんとなく作るのではなく、ターゲットに刺さるコンテンツを発信しましょう。
・【お役立ち資料】採用広報コンテンツ作成の手順
③内定・入社フェーズ
オファーを出した後、候補者は内定を承諾するか、競合もしくは現職残留と迷う形になります。内定のタイミングで採用CXを向上することで候補者の意向を上げることが求められます。
- 印象に残る内定通知を行う例:手紙でメッセージを送る。面接を担当した全ての社員からビデオメッセージが届く
- 入社時にSlackなどのコミュニケーションツールで歓迎し、馴染みやすい雰囲気作りをする
- 入社後のオンボーディング体制を整備し、スムーズにジョインできる仕組みを作る
- 入社後は定期的に1on1を行い、疑問や障害となっている点がないか常に確認をする
採用ピッチ資料に必要な情報をできるだけ社内から抽出し、内容の濃いものにしていきましょう。作成後の活用方法まで設計することが重要です。
・【2021年保存版】採用ピッチ資料の作成手順から活用方法まで徹底解説
https://hear.co.jp/recruit/saiyoupitch-knowhow/
採用サイトは通常のWebサイトと異なり、候補者の応募意欲を上げることが目的です。応募への導線もわかりやすく設計することが求められます。現状採用サイトを公開している場合は必要な情報を網羅的に公開できるようにリニューアルしましょう。
・採用サイトの設計方法やリニューアル方法
https://hear.co.jp/recruit/recruiting-site/
採用サイトを自社で制作する場合は多額のコストがかかってしまいます。ノーコードツールNotionを活用すれば低価格でシンプルな採用サイトが制作できます。
・Notionを活用した採用サイト制作方法を徹底解説
https://hear.co.jp/recruit/recruiting-site-notion/
コロナ禍で採用がオンライン化した中、採用におけるSNS(Twitter)の活用は優秀な候補者からの認知を獲得するには有効な手法です。
・コロナ時代のTwitter採用ノウハウ
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候補者は内部・外部要因含めて様々なキッカケで入社後の不安を抱え内定辞退に繋がってしまいます。想定されうる内定辞退理由を事前に把握し、内定辞退を防ぐ採用CX施策を実行して対策しておきましょう。
・内定辞退を防ぐ採用CX施策6選
採用CXを強化し、採用力を高めましょう
オンライン時代において自社の採用力を高めるためには採用CX戦略の設計が必要です。採用CXについて詳しく知りたい、自社での設計方法が知りたいという方は是非HeaRにご相談ください!
採用CXに関する資料一覧
採用CXに関する理解を深めたい方は是非こちらの資料をご覧ください。
・採用CXタッチポイント158項目
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・面接官向上チェックシート
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・候補者体験を向上させる心理学的手法37選
https://hear-20737044.hs-sites.com/recruitmentphycologyhp
・最高の候補者体験を作るCX事例8選