営業職採用の市況感
採用のミスマッチが増えている現状
ブランディング支援サービスを提供する株式会社未知の調査によると、オンライン採用を実施している採用担当者のうち8割が「採用のミスマッチが増加した」と回答しています。
オンライン面談は対面に比べて得られる情報量が少なくなるため、十分に見極めができず、ミスマッチが生じていると考えられます。
中途人材の営業職採用の市況
dodaを運営するパーソルキャリア社の2021年7月時点のデータでは、営業職の求人倍率は1.95倍と高い数値が出ています。
ちなみに、同時期の厚生労働省発表の有効求人倍率は1.15倍でした…つまり、有効求人倍率自体が1.20倍となっている現在は、営業職の求人倍率もさらに高い水準となっていることが予想されます。
営業職の採用を成功させるための事前準備5選
ここまで見てきたように、難易度が高い傾向にある営業職の採用。成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。
自社の営業職人材へのヒアリング
現場の状態を人事が完全に把握することは難しいもの。人事だけで採用を考えていては、現場の実態と乖離してしまう可能性があります。
・どんな部分に魅力を感じて入社を決めたのか
・働く上での自社の魅力
・自社で活躍しそうな人物像
上記のように「わかっているから聞かなくても大丈夫」と思い込まず、改めて質問をぶつけてみましょう。
ペルソナ設計
ペルソナとは、商品やサービスを利用する架空のユーザー像を表すマーケティング用語ですが、近年採用にも応用されることが増えてきました。
ペルソナ設計では、20代女性・社会人といった大まかなくくりではなく、25歳・都内勤務・実家暮らし・カフェ巡りが趣味など、詳細に人物像を作り込んでいきます。このように人物像を細かく設定していく点が、ターゲット設定とペルソナ設計の大きな違いです。
ペルソナを設定したからといってペルソナを採用するわけではないということは認識しておきましょう。ペルソナ周辺を狙っていく気概のもと、戦略設計することが大事になります。
人気の求人媒体や流行りの採用手法を取り入れても、必ず求めている人物を採用できるとは限りません。自社に合った施策を行い、自社の求める人物に届く求人を作るためには、ペルソナ設計は有効な手段です。
採用競合を分析する
採用競合がどんな求人媒体を使っているか、どんな募集の書き方をしているか、分析してみましょう。
ここで注意すべき点は、採用競合は必ずしも事業上の競合他社のみに限定しないことです。他業種や他業界の企業が上がってくるケースも多くみられます。採用競合がわからない場合は、社員や候補者に自社の他に選考を受けていた企業を尋ねてみるのがおすすめです。
また、採用競合の分析は大事ですが、そのまま真似する形に終わらないようにも気をつけましょう。採用競合の手法が自社に合わない場合もありますし、差別化という意味でも独自性を出すことは大切です。
活かせる部分は取り入れつつ、自社ならではの取り組みを生み出していきましょう。
ターゲットに刺さるポイントを明確にする
設定したペルソナをもとに、求める人材の心を動かせるポイントは何かを明確にします。「働きやすい環境」「やりがいのある仕事」といった抽象的な言葉にとどまるのではなく、「リモートワークができる」「顧客から直接お礼が聞ける」など具体的にしましょう。
この時、自社の訴求したいポイントと候補者も惹かれるポイントが同じだと根拠なく思ってしまいがちなので注意。客観的な視点を意識して明確化していきます。
また、ここで重要になるのが、Point of Difference(PoD/差別化要素)です。いくら候補者が求めていても、競合も提供できる価値であれば訴求が弱くなってしまいます。
候補者が求めているけれど、他社では提供できていない価値を見つけられるようにしましょう。
・競争力を高める採用ブランディング戦略とは
https://note.com/hearing_0818/n/nf89c17c0203e
自社の魅力を正しく把握する
自社の魅力認識も欠かせません。
企業の採用上の魅力は、4Pと呼ばれる以下の項目にわけることができます。
①Philosophy=理念・目的:組織のビジョン・目的に対する魅力
②Profession=仕事・事業:組織の活動に対する魅力
③People=人材・風土:メンバーと接する事で得られる魅力
④Privilege=特権・待遇:組織に属する事で得られる処遇や特権
この4つをもとに魅力を書き出して分類し、自社はどの分野が特に魅力的なのか考えていきましょう。
書き出す時には、「こんな細かいことが魅力になるのか」と思うことでも自分で切り捨ててしまわずに書き出してみるのがポイントです。小さなエピソードでも、集まれば大きな魅力になる可能性があります。
・自社にふさわしい求職者を惹きつけるには
https://www.hear.co.jp/recruit/4p
営業職人材に必要なスキルとは?
営業職に必要なスキルといえばコミュニケーション能力が想起されがちですが、他にも様々なスキルが必要とされます。正しく営業職人材を見極めるためには、多くのスキルをまず把握することが欠かせません。
・能力(営業職として活躍する上で重要な力)
・適性(営業職として力を発揮することに影響を与える性質)
・知識(営業職で求められる固有の知識)
・ツール(営業において使うことの多いツールに関する経験)
の4ジャンルにわけて、営業職に必要なスキルを紹介します。
能力
・ヒアリング
相手の話をただ聞くだけではなく潜在的な不満や悩みを聞き出す力。
営業職人材には、顧客の課題や不満を自然に引き出せる力があるとよいでしょう。
・プレゼンテーション
伝えたいことを順序立てて、わかりやすく伝えられる能力。
プレゼンの場だけでなく、商談でも重要になる力です。
・クロージング
顧客の決定を促すための力。
判断しきれない顧客の背中を押せる説得力や熱意が鍵となります。
・コミュニケーション
相手の求めていることや性格を把握し、適切な受け答えができる力。
ただ話すのがうまいだけではなく、相手に合った対応ができることが大切です。
・論理的思考
物事を筋道立てて考えられる力。
商品についてわかりやすく顧客に伝えるためにも、顧客の課題を解決するためにも必要です。
・問題発見(課題解決)
その名の通り、顧客の課題を見つける力です。
本当の課題を顧客が把握できていないケースも多いので、顧客の話から本当の課題を特定できる洞察力が求められます。
・ITリテラシー
ITツールを使いこなす力です。
営業活動もオンライン化が進む現代では必須のスキル。自分が使いこなせるだけでなく、顧客に使い方を説明できたり、簡単なトラブルには対応できたりする状態が望ましいです。
・ビジネスマナー
顧客との関係づくりに欠かせないのがビジネスマナーです。
マナーも普遍ではなく時代とともに変わっていくため、根底にある考え方を把握しておけるといいですね。
・数値管理
数値を利用して自分の行動を記録・分析できる力。
ただ管理するだけでなく、どこで歩留まりが起きていて何が問題なのか考えられる思考力も含まれます。
・営業マネジメント
営業社員が最大限力を発揮し目標を達成できる状態になることを導く力。
部下だけでなく組織全体を見れる俯瞰的な視点や関係構築力が重要になります。
適性
・感受性
人の気持ちや機微を感じられる力。
顧客の本当に考えていることを知ることが重要な営業人材には必須のスキルと言えます。
・達成動機
物事を達成したいという動機のこと。
達成動機が高い人は、成功確率が50%ほどの目標でもっともモチベーションが上がるといわれています。
・失敗回避動機
失敗をしたくないという動機のこと。
失敗回避動機が強い人は失敗の原因を自身の能力の低さだと感じるため、能力の低さが露呈しないような成功確率が極めて高い目標か低い目標を好みます。
先述の達成動機が強い人と失敗回避動機が強い人のどちらが自社に適しているか考えてみましょう。
・時間効率
時間を有効に使うタイムマネジメント力。
移動時間を有効活用出来たり、効率UPのための行動をできたりする人材が望ましいです。
・協調性
他の人と力を合わせたり助け合ったりできる力。
チームで動いたり他部署と協働する際に重要になります。
・外向性
興味や関心が外に向けられる傾向のこと。
外向性の高い人には、社交的・積極的・明るいといった特徴があり、営業としてうってつけの人材といえます。
・レジリエンス
外圧に負けない復活力、厳しい状況にも耐えられる適応力。
営業職をしていると顧客から厳しい言葉をもらったり難しい顧客に出会ったりすることもあります。その際にも折れない心を持つ人材が必要です。
・自己認識力
自分がどういう人間か、またどういう風に見られているかを認識できる力。
この能力が高いと、自分に足りないものを明確化し改善できたり、自分の振る舞いや見せ方を的確に演出したりできます。
知識
・アカウントプラン
顧客別にまとめられた営業の基本構想。
顧客のビジネス状況に応じた課題解決を提案するために重要となる知識です。
・エンタープライズ営業
大企業向けの営業手法。
大企業と中小企業では営業のポイントも異なります。大企業への販路拡大を狙っている場合は、エンタープライズ営業の知識を持つ人材がいた方が力になるでしょう。
・紹介の促し
顧客に新しい顧客を紹介してもらうための知識。
最適なタイミングや、伝え方など経験知として持っている人材は貴重です。
・代理店管理
代理店営業の場合は、通常の営業とは異なる知識が求められます。
代理店への講習会を行うこともあるため、研修関連の知識を持つ人材がいるとベストです。
ツール
・Salesforce
もし貴社でsalesforceを導入している場合は、使用経験のある人材の方が仕事にも馴染みやすいでしょう。
・Microsoft PowerPoint
ただ操作ができるだけでなく、視覚的にわかりやすい資料を作れるとなおよいですね。
営業職採用のための求人作成5つのポイント
営業人材の採用を成功させる求人作成の際の、大きなポイントは明確化です。では、何を明確化すればよいのか紹介していきます。
仕事内容を明確にする
仕事内容には、担当してもらいたい役割(例:法人営業、個人営業)や、実際に日々行っていく具体的な業務やタスクを書きましょう。BtoB営業ならどんな業界やどの規模の企業が顧客なのか、BtoC営業なら中心顧客の年齢層や属性などを明確に記述します。海外展開している企業の場合は、どの国の顧客が相手となるのかも書いておくとよいでしょう。新規開拓があるのか、ルート営業なのかも大切なポイントのひとつです。
また、新規開拓の手法や商談におけるオンラインと対面の比率など具体的に働くイメージがわきやすいものにしましょう。若手採用やポテンシャル採用の場合は、標準的な1日の流れを盛り込むとわかりやすいです。
仕事内容を明確にする
自らが商品を売る営業職にとっては特に、会社の扱う商材は重要なポイントとなります。
自社がどんな事業を行っていて、担当してもらうのはどんな商品なのか、競合に勝てる強みなどを記載しましょう。また、業界自体の市場規模や今後の成長可能性も書いておくのがおすすめです。海外展開を考えていたり海外にも顧客がある企業の場合は、世界的な市場の伸びについても触れておくとよいかもしれません。
応募資格を明確にする
欠かせないスキルは必須条件として、できれば欲しいというスキルは歓迎条件として書いていきましょう。必須条件が多すぎると「自分のレベルで応募してもいいのだろうか」としり込みしてしまう人もいます。本当に必要なのか再検討し、不可欠でなければ歓迎条件としましょう。
休日・福利厚生を明確にする
年間休日数、休日の曜日、有給制度はいつから発生するのかなど明確に記載します。
福利厚生についても、制度名はもちろん、説明もセットで記載しましょう。
自社の魅力を明確にする
求職者に訴求できる魅力は「理念・目的」「仕事・事業」「人材・風土」「特権・待遇」のうちどれなのかを明確にします。その上で、訴求するべき魅力が伝わるように求人募集を書いていきます。人が魅力の場合は社員にフォーカスした募集内容に、事業が魅力であれば代表が事業への想いを語るといった形で魅力に合わせた求人にしましょう。
営業職採用の母集団形成を促す方法7選
採用競合がひしめく中で、採用を成功させるためには様々な手法を組み合わせていく必要があります。
適切な採用媒体を選定する
媒体によって登録者層が異なるため、自社の求める人材がたくさん登録していそうな媒体を選びましょう。例えば、若手かつ優秀な人材の採用ならAMBI、IT・web業界での採用の場合はGreenが適しています。
また、適切な人にアプローチするためには、広告媒体よりもダイレクトリクルーティングサービスを中心に据えるのがおすすめです。
エージェントコントロールを実施する
よい人材を紹介してもらうためには、エージェントとの関係性が肝となってきます。
・常に最新の採用要件や選考基準を共有
・通過理由やNG理由を明確に伝える
・紹介が少ない場合は原因を特定し解消していく
上記のような取り組みを強化し、エージェントが人材を紹介しやすい環境を作っていきましょう。
採用広報記事で発信する
営業職向けの記事を執筆し、発信していきましょう。
採用広報記事は、無関心から認知、応募などフェーズに合わせたコンテンツが必要になります。その中でも母集団形成のためには、無関心の方に有益だと思われるようなコンテンツがおすすめです。例えば、「エース社員が営業活動において心がけていること」などです。
採用ピッチ資料を作成する
採用ピッチ資料を作成するのも一手です。
従来の会社紹介資料との違いは、いいことだけでなく課題も記載すること。課題を伝えることで、誠実で正直な会社という印象を与えられますし、求職者の課題解決欲求を刺激し応募意欲を高めることにもつながります。
ウェビナーを開催する
BtoBマーケティング効果と採用効果の両立が図れるのがウェビナーです。
この会社はすごい!と思ってもらえる自社の知見を公開することで、「この会社で働いたら自分も成長できそう」といったイメージを求職者に持ってもらえ、応募へと繋げることができます。
SNSで発信する
SNSでの発信を通じて、自社のリアルな姿や雰囲気を伝えることができます。また、継続した発信により候補者の目に留まることが多くなれば、ブランディングにも繋がります。
数多くあるSNSの中でも最もおすすめなのがTwitter。採用との相性も良く、気軽に発信ができるため継続しやすいです。自社求人だけでなく、営業人材が有益だと感じる内容の投稿を心がけましょう。
リファラル採用を強化する
社員の知人や友人から採用していく手法。活躍している社員と似た社員を採用できるため、効果的です。
しかし、実施する際には社員の協力が不可欠であるため、周知活動やプロジェクトチームづくりなど人事を中心に社内を巻き込んでいくことが必要です。
営業職採用の母集団形成に役立つ資料も無料配布しております。
入社後のミスマッチを無くす営業職採用の選考手法3選
採用ミスマッチが増加している現代において、ミスマッチを無くすための取り組みは数多くありますが、以下の4つが特におすすめです。
リファレンスチェック
リファレンスチェックとは、候補者の人柄や仕事への取り組み方などについて、周囲の人に尋ねることです。 一般的には上司や同僚に聞くことが多いです。
自社で実施する場合と、back checkやASHIATOなどの外部サービスを使用する場合とがありますが、 どちらの場合でも候補者の同意が必須です。
メリットは、実際に一緒に働いていた人の声を集められるため、候補者の実像を知りミスマッチ防止に繋げられること。 しかし、候補者の同意を得られなかったり、候補者からは同意を得られても回答を依頼した相手に断られたりといった可能性もあります。実施できない可能性も考慮して、他の方法と併用するのがベターな手法です。
適性検査
自社で働くにあたって必要な適性を見極めるための試験。パーソナリティ(例:外向性、協調性など)を見るものと、能力(思考力、言語処理能力など)を見るものに分かれます。就職活動で多くの企業が実施しているSPIや玉手箱が有名ですね。
能力検査が多い新卒採用の適性検査と違い、中途採用における適性検査では、パーソナリティを見られることが多い傾向にあります。面接や書類ではわかりにくい、自社の風土と候補者のマッチ度を見極めるために使用されています。
ワークサンプルテスト
ワークサンプルテストとは、各企業が独自で開発したスキルチェックテストを指します。
実務に近い課題や現場社員とのディスカッションを実施することで、入社後にスキルのミスマッチが発覚することを防ぐ目的があります。体験入社の形を取る企業も存在します。
影響力のある企業が取り入れているため、注目を集め母集団形成に役立てられる可能性もあるのがメリットのひとつです。半日〜1日かかることが多く、このタイミングの辞退が多くなりがちなのがデメリットですが、見方を変えれば志望度の低い応募者をスクリーニングにも活用できると捉えられます。
・ワークサンプルテスト大全
https://www.hear.co.jp/recruit/work-sample-test
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まとめ
営業職の採用を成功させるためには、数多くのスキルの見極めが重要です。採用ミスマッチやスキルの見極めにお悩みの方は、ぜひお気軽にHeaRにご相談ください!
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