採用イベントとは?
採用イベントとは、企業が求職者と直接対話し、自社の魅力や企業文化をアピールする場を指します。通常の面接とは異なり、イベント形式で開催されるため、企業の特徴や強みをより具体的に伝えることができ、求職者に企業の雰囲気をリアルに感じてもらうことができます。
また、企業にとっては求職者の本音や人柄を把握する貴重な機会でもあり、採用イベントを導入する企業が増えています。特に、コロナ禍を契機にオンラインでの採用活動が普及したことで、これまで対面が主流だった採用イベントにもオンライン形式が増えています。
これにより、企業は遠方の求職者と接点を持つことができ、求職者側も手軽に企業のイベントに参加できるようになるなど、双方にとってより良い影響をもたらしています。
採用イベントの種類
採用イベントには、さまざまな形式があり、企業の目的やターゲットに合わせて選ぶことができます。求職者との出会い方、アプローチ方法もそれぞれ異なるため、適切な種類を選ぶことが重要です。ここでは、代表的な採用イベントの種類や、それぞれの特徴やメリットを解説します。
合同企業説明会
合同企業説明会は、複数の企業が一堂に会して、求職者と交流するイベントです。この形式の最大のメリットは、求職者が短時間で多くの企業の情報を得られる点にあります。企業にとっては、広範な求職者層に対して効率よくアプローチできる場となります。
合同企業説明会では、業界や企業規模が異なる企業が同時に参加するため、求職者はさまざまな選択肢を比較検討できます。一方、企業側にとっても他社と比較されることで、自社の強みや差別化ポイントを強調する機会となります。特に採用活動の初期段階での母集団形成に有効な機会です。
総合型合同企業説明会
総合型合同企業説明会は、幅広い業界の企業が参加するため、多様な求職者にアプローチできる点が特徴です。この形式では、業界にこだわらず幅広い選択肢を探す求職者との出会いが期待できます。総合型合同企業説明会は、企業の知名度を上げるための広報効果も大きく、出展費用を払うことで企業規模を問わず参加が可能です。特に新卒採用では、学生に広く認知してもらう機会としてこの形式を活用することが多いです。
業界特化型合同企業説明会
業界特化型の合同企業説明会は、特定の業界や職種に絞ったイベントです。この形式のメリットは、参加者がすでに業界に興味を持っているため、マッチングの精度が高い点です。
たとえば、IT業界特化型の合同説明会では、エンジニアやデジタル分野のスキルを持つ求職者が集まるため、採用効率が向上します。また、業界に特化することで、企業は専門的な魅力や業界内での強みをよりアピールしやすくなります。
学内企業説明会
学内企業説明会は、大学や専門学校などの教育機関内で独自に開催される採用イベントです。企業が学校を訪問して学生と直接会う機会を作ることで、学生に対して企業の魅力や採用情報を提供します。
この形式のメリットは、企業がターゲットとする学歴や専攻を持つ学生に対してピンポイントでアプローチできる点です。また、通常の合同説明会と異なり、学生が持つ専攻や学科のバックグラウンドにもとづいて行われるため、特定の分野に強い人材を確保しやすくなります。
また、学内での開催は学生にとってアクセスが容易であり、参加率が高い傾向があります。企業は、自社の企業文化や事業内容、仕事のやりがいを伝えることで、学生の興味関心を高めることが可能です。
個別企業説明会
個別企業説明会は、特定の企業が自社のオフィスや専用の会場で開催する、単独の採用イベントです。この形式の最大の特徴は、企業が自社のブランドや魅力を深く伝えられる点にあります。複数の企業が同時に参加する合同企業説明会とは異なり、参加者はその企業に一定の興味関心を持っているため、企業の独自性を強くアピールすることが可能です。
これにより、求職者はその企業に特化した理解を深めやすく、志望度の高い求職者を集めることができます。また、参加者に対して個別相談の時間を設けることで、より具体的な質問に応じ、相互理解を深めることができます。
座談会・ミートアップ
座談会やミートアップ形式の採用イベントは、リラックスした雰囲気で企業と求職者が交流できるイベントです。この形式の最大の魅力は、求職者が企業の社員とカジュアルな環境で対話し、本音や価値観を共有できる点です。企業にとっても、面接では見えにくい求職者の人柄や考え方を知る絶好の機会となるでしょう。
座談会では、社員が求職者と直接会話することで、企業の仕事の内容や社内の雰囲気について具体的に伝えることができます。これにより、求職者は企業のリアルな姿を感じ、入社後の自分の働き方をイメージしやすくなります。特に、志望度の高い求職者に対しては、会社との相性を確認する場として活用されることが多く、結果としてミスマッチの少ない採用が期待できます。参加者が少人数であるため、深いコミュニケーションが取れるのも特徴です。
セミナー・勉強会
セミナーや勉強会形式の採用イベントは、専門的な知識やスキルを提供しながら、企業と求職者が交流する形式です。この形式の最大のメリットは、企業が求職者に対して自社の専門領域や技術力を直接アピールできる点にあります。特に技術職や専門職を対象とした採用活動においては、企業の魅力を具体的に伝える絶好の機会です。
例えば、IT企業が技術セミナーを開催することで、エンジニア候補者に対して自社の開発環境や技術的なアプローチを詳しく説明できます。これにより、求職者は企業の強みや技術に共感し、より深い理解を持って企業に対する興味を高めることが可能です。
さらに、セミナーや勉強会を終えた後のQ&Aセッションや個別相談などを通じて、参加者のスキルや考え方を深く理解する機会も得られます。
職業体験・インターンシップ
職業体験やインターンシップは、求職者が実際に働きながら業務内容を体験できる採用イベントです。この形式の最大のメリットは、求職者が自社の業務や企業文化を肌で感じられる点にあります。特に、長期的な採用活動において、インターンシップを通じて優秀な人材を早期に発掘・確保できることも大きな特徴です。
職業体験やインターンシップでは、求職者は短期間のうちに企業のリアルな業務プロセスに触れることができ、自身の適性や興味を確認することができます。一方で企業側も、求職者の働きぶりやコミュニケーション能力を直接観察することができ、ミスマッチを防ぎやすくなります。
特に技術系や専門職の場合、実際の業務に携わることで求職者のスキルや成長意欲を見極めやすく、入社後の即戦力としての期待も高まります。
企業が採用イベントを開催するメリット
採用イベントは、単なる人材確保の場ではなく、企業と求職者が相互に理解を深める場でもあります。ここでは、企業が採用イベントを開催することによって得られるメリットについて解説します。これらのメリットを把握することで、採用活動におけるイベント活用の重要性が理解できるでしょう。
一度に幅広い求職者に出会える
採用イベントを開催することで、一度に多くの求職者と出会うことが可能になります。特に合同説明会やセミナー形式のイベントでは、企業が一度に多くの人材にアプローチできるため、広範な母集団形成に役立ちます。
さらに、オンライン形式のイベントを取り入れることで、遠方に住む求職者や、仕事や学業の合間を縫って転職を検討している人々とも容易に接点を持つことができるようになります。
このような採用イベントの広範な参加者層は、企業にとって求める人材の多様な選択肢を増やすことに繋がり、採用効率を向上させます。幅広い求職者にアプローチすることで、思いがけない優秀な人材と出会える機会を得られるのが大きなメリットです。
自社の魅力を直接アピールできる
採用イベントでは、企業が自社の魅力を求職者に対して直接アピールできるため、求職者に強い印象を与えることができます。説明会やセミナーの場では、企業の理念、文化、成長戦略などを詳細に伝えることができ、他社との差別化を図る絶好の機会です。
例えば、企業の強みや福利厚生、キャリアアップの支援体制などを具体的に伝えることで、求職者の関心を引き、入社意欲を高めることが可能です。また、直接の質問に応じたり、リアルな働き方を共有することで、求職者の疑問や不安を解消し、企業への信頼感を強化することができます。結果的に、求職者は企業に対してポジティブなイメージを持ち、採用成功の確率が高まります。
求職者の人柄や志向を把握できる
採用イベントのもう一つの大きなメリットは、求職者の人柄や志向をより深く把握できる点です。通常の面接では、求職者は事前に用意した回答を考え、企業の期待に応えるために緊張して臨むことが多いため、自然な人柄や価値観が見えにくいことがあります。
そうした際に、インターンシップや座談会、ミートアップといった形式の採用イベントを開催することで、リラックスした雰囲気の中で求職者と交流でき、より本音に近い部分を知ることができます。
企業側は、イベントを通じて求職者がどのような価値観を持ち、どのようなコミュニケーションを取るのかを観察でき、自社が求める人材に合致するかどうかをより正確に判断することができます。特に、長期的なキャリア志向やチームでの働き方への適応力などを見極めやすく、結果として採用のミスマッチを防ぐことができます。
採用イベントを開催するポイント
採用イベントの成功は、イベント自体が盛り上がることではなく、採用活動の次のステップに繋げられるかが、最終的な採用成果を左右します。ここでは、採用イベントを企画・実施する際に押さえておくべきポイントを紹介します。
目的にあった採用イベントを企画する
採用イベントを開催する際は、目的やゴールを明確にし、それに応じたイベントを企画することが重要です。闇雲に開催するのではなく、イベントの目的が「幅広い母集団形成」なのか、「特定のスキルを持つ人材の獲得」なのか、または「企業のブランディング」なのかをはっきりさせ、その目的に合致する形式を選ぶ必要があります。
例えば、幅広い求職者層にアプローチしたい場合は、合同説明会やオンラインセミナーが効果的です。一方で、特定のスキルを持つエンジニアや技術者を採用したい場合は、専門的なワークショップやミートアップ形式が適しています。イベントの目的を明確にすることで、採用ターゲットに合った求職者を集めやすくなるでしょう。
イベント終了後のフォローアップも欠かさずに行う
採用イベントの真の目的は、イベント自体が盛り上がることでなく、参加した求職者の中から、候補者を見つけ次の採用ステップへ進めることです。そのため、イベント終了後のフォローアップをしっかりと行うことが重要です。イベントがどれほど盛況だったとしても、フォローがなければその後の選考につながりにくくなります。
フォローアップの内容には、イベント後に求職者へ感謝のメッセージを送る、採用に関する次のステップを案内するなどが含まれます。さらに、イベントの印象が良ければ、参加者が周囲に話題を広げ、次回以降のイベント集客にプラスの影響を与えることもあります。
丁寧なフォローアップが行われると、求職者は企業に対して信頼感を持ちやすくなり、その後の選考過程でも良好な関係を築くことができるでしょう。
参加者アンケートを実施する
採用イベントが終了した後、参加者アンケートを実施してフィードバックを得ることはとても重要です。実際にイベントに参加した求職者の意見や感想を集めることで、イベントの満足度や、企業の魅力が伝わったかどうかを確認し、次回の改善点を見出すことができます。
また、アンケートを実施する際には、あらかじめ選考結果には関係しないことを伝えることで、参加者がより率直な意見を提供しやすくなります。本音を引き出すことで、表面的な問題点だけでなく、見えづらい改善点にも気付くことができるため、企業にとって大きなメリットとなります。
改善を繰り返しながら継続的に実施する
採用イベントは、初めから完璧に成功することは稀です。そのため、イベントを一度で終わらせるのではなく、継続的に実施し、毎回改善を重ねていくことが大切です。初回のイベントでは、運営に不備が出たり、思うように集客できなかったりすることがあるかもしれません。しかし、これらの失敗や反省点を基に改善策を講じることで、次回以降のイベントはより成功に近づけることができます。
改善を続けるためには、参加者のアンケート結果やイベント後の成果を分析し、どの部分が効果的で、どこを改善する必要があるかを把握することが重要です。また、採用市場や求職者のニーズも変化していくため、それに応じてイベントの内容やアプローチ方法も柔軟に調整する必要があります。継続的な実施と改善の積み重ねが、結果的に企業の採用力を高めることにつながるでしょう。
ユニークな採用イベント事例3選
企業間の採用競争が厳しさを増す中、それぞれの企業が独自のアイデアを活かして、求職者に自社の魅力を伝えています。ここでは、特にユニークで注目を集めた採用イベントの事例を3つご紹介します。
麻雀採用|カケハシ スカイソリューションズ
カケハシ スカイソリューションズが企画した「麻雀採用」は、麻雀を通じて論理的思考力や勝負勘を持つ学生との出会いを促進するユニークな採用イベントです。また、麻雀を通じて学生の素の姿を観察できるのが特徴で、通常の面接ではわからない人間性やコミュニケーションスキルを見極めることができます。
特に、高学歴や理系学生の参加が多く、そうした層にアプローチしたい企業にとっては有効なイベントとなっています。この採用イベントは、半荘4回で競い合う形式で進行し、その間に学生と企業が自由に交流できる時間が設けられています。
麻雀のスキル自体が必要なわけではなく、企業は麻雀を通じて求職者と自然な形でコミュニケーションを取り、相手の思考力や判断力を見極められる点が魅力です。
Set upセミナー|リグリットパートナーズ
リグリットパートナーズが行う採用イベントは、就活生の自立と自走を促進するユニークな内容が特徴です。同社は「自分自身をブランディングできる人材」を育成することを目指し、従来の企業説明型のイベントから「自己分析」や「将来のキャリア」を深く考えるセミナー形式に方針を転換しました。
この取り組みにより、就活生が本質的なキャリア選択を行うためのサポートを提供し、結果として26卒向けセミナーの参加者数が前年比で約11倍増加するという成果を上げています。特に同社で人気の「Set upセミナー」では、就職活動を「将来の理想像を実現するための手段」として位置づけ、参加者が自分自身の価値観を見つめ直す機会を提供しています。
また、セミナー後にはコンサルタントとの個別面談を実施し、自己分析を深めるプロセスをサポート。こうした取り組みにより、参加者から「自己理解が深まった」「今後の進むべき道が明確になった」という高い評価を受けています。
顔採用|伊勢半グループ
伊勢半グループの「顔採用」は、自社の化粧品ブランド「KISSME」のメッセージ「私らしさを、愛せるひとへ。」に基づいたユニークな採用イベントです。就活メイクに縛られることなく、自分自身の「らしさ」を表現するメイクや服装で面接に来てもらうことを目的としています。
容姿の良し悪しで判断するのではなく、求職者が自身を自由に表現し、その「私らしさ」について語れる場を提供するという新しい採用方法です。このイベントでは、求職者に対して、型にはまらない自由な発想や自分らしさを尊重する企業文化がアピールされ、これに共感する求職者を引きつけます。
面接時に自分らしいメイクや服装で参加できることで、求職者はリラックスした状態で自分の本質を表現でき、企業との相性を確認しやすい環境が整います。求職者の多様な価値観を尊重する採用活動が実現され、企業文化とフィットする人材を集めることに成功した事例です。
まとめ
採用イベントは、企業にとって優秀な人材を確保するための重要な手段です。この記事では、採用イベントの基本から具体的な種類、メリット、そして成功のポイントを解説しました。企業規模や業界によって最適なイベント形式が異なりますが、イベントの目的を明確にし、適切なフォローアップを行うことが成功の鍵となります。
また、ユニークな採用イベントの事例を紹介しましたが、これらは企業が自社の魅力を最大限に発揮し、求職者とのミスマッチを防ぐ効果的な手段として活用されています。この記事を参考にして、自社に最適な採用イベントを企画・実施し、優秀な人材との出会いを実現してください。