Step1:選考基準を明確に設定する意味とは?
離職率を減らすため
せっかく採用できたとしても、すぐに離職となってしまうのは企業側と社員側、双方にとって良いことではありませんよね。
しかし、厚生労働省が行った「令和2年度 新規学卒就職者の離職状況」に関する調査によると、その年の大卒新卒社員のうち10.6%と約一割が離職しています。また、3割が3年以内に離職しており、離職率の改善は企業の採用における重要な課題のひとつです。

離職率が高いのには、様々な理由があります。
賃金や休暇など労働環境に関するものから、業務内容のギャップやカルチャーミスマッチなど千差万別です。
こうした様々な理由のうち、業務内容やカルチャー面におけるミスマッチを原因とする離職は、選考基準の選定次第で大幅な減少が期待できます。
もちろん業務内容もカルチャーも、入社前に候補者が100%理解することは難しいです。しかし、自社の業務やカルチャーに適した人材を分析した上で選考基準に反映させれば、マッチ度の高い候補者の採用、ひいては離職率の低下に繋げられるのです。
例えば、他社であれば自分の業務を淡々と遂行することが求められるものの、自社では各部署との調整が多く発生するといった場合もあります。そうすると、業務に関するスキルと併せて、コミュニケーション力やバランス力が必要になります。
また、カルチャー面についても、主体的で自ら仕事を取りに行くような人が多い職場もあれば、与えられたことをこなすのが好きな人が多い職場もあります。、環境によって、適した人材は大きく変わってくるでしょう。
このように業務スタイルや職場環境・カルチャーの観点を取り入れた選考基準を明確に選定することで、離職率の低下へと繋げることができます。
面接官の主観や価値観で選考結果を左右させないため
面接では、経験・スキル・知識・パーソナリティなどの様々な要素において、選考基準に照らし合わせながら自社が求める人物か見極める必要があります。
しかし、選定要素が多岐にわたる中で選考基準や評価項目の優先順位が明確に決められていないと、何を重視するかが面接官の主観や価値観によって変動し評価にバラつきが出やすくなってしまうリスクが生じます。
実際に、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの今城氏の論文『採用面接評価における面接者要因の探索的検証』でも、面接官の人材観に面接の評価が左右されることが確認されています。
参考:今城志保著『採用面接評価における面接者要因の探索的検証』
自社の採用において重要なポイントと面接官が主観的に重要だと感じることがイコールとは限りません。、そのため、適切に候補者の選定を行う上で、選考基準は大きな意味を持つのです。
選考通過率が悪く、なかなか内定者が出ない
選考通過率が悪い場合には、以下の二つのケースが考えられます。
- 選考基準がはっきりしていないために、母集団形成の段階で適した人材を集められていないケース
- 面接官が必要以上に理想を追い求めてしまうことで通過率が下がってしまっているケース
1.の場合には、選考基準を明確化し、求める人材に合わせた採用施策を選定したり打ち出しポイントを変更することで改善できる可能性が高いです。
また、ダイレクトリクルーティングを使用している場合も、選考基準をもとにスカウト対象者の選定を見直すことで、選考通過率の高い人に的確なスカウトを送ることできるようになります。
②のケースでは、選考基準が定まっていないために、自社に必要である以上のスキルや経験を求めてしまい、自社で活躍できる可能性が十分にある人も不合格になっているということが考えられます。
この場合は、明確な選考基準を選定することで何を見極めればいいかをはっきりとさせます。、現在自社に必要であるスキルや能力以上のことを求めることを減らす効果があります。
このように選考の歩留まりを解消できるため、選考基準の選定は内定率の向上という側面でも大きな意味を持ちます。
Step2:候補者の評価軸を選定していく方法について
選考基準の策定には、段階的に評価軸を選定できる「Best/Better/Normal」のフレームワークが便利です。
使い方は3Stepでとても簡単。
- 選考基準の項目(思考力・営業経験・業界知識など)をリストアップ各項目におけるBest/Better/Normalを設定選考基準の設定
例えば課題解決力であれば、以下のように設定できます。
・Best:自ら業務を分析して課題を見つけ出し、解決策を考え実行できる
・Better:与えられた課題に対して、自ら解決策を考え出すことができる
・normal:与えられた課題に対して、サポートを得ながらであれば解決策を考えられる
選考基準を決める際は「Best〇個以上で合格」「営業経験はBetter以上必須で、他はNomalでもよい。でも営業経験のほかにBetterが一つ以上なければ不合格」など詳細に決めておくと、実際の運用がしやすくなります。
人事が想定している各項目の重要度と、現場の求める重要度は必ずしも一致しているとは限りません。現場の社員や責任者を巻き込んで、認識をすり合わせながら明確な選考基準を設定していきましょう。
また、面接での評価項目として、「コンピテンシー」と「リスクパターン」を設定することもオススメです。
コンピテンシーは「高い業績や成果に繋がる行動特性」を、リスクパターンは「業績を下げたり鈍化させたりするリスクを持つ行動特性」を意味します。
コンピテンシーとリスクパターンを設定することで、募集するポジションに必要なスキルを分解し、可視化します。その上で候補者がどれだけ自社で活躍してくれそうなのかを明確にすることができます。
コンピテンシーとリスクパターンには、それぞれ下記のような項目があります。参考にしながら、候補者に確認するべき項目を選定してみてください。
▼コンピテンシーの例
・提案力(わかりやすく説明し、効果的に意見を伝えられる力)
・課題分析力(課題の因果関係から本質を見いだせる力)
・情報収集力(必要な情報を入手・取捨選択できる力)
・発想する力(既存の枠に捉われずアイデアを生み出す力)
▼リスクパターンの例
・他者依存(他人の評価や反応を気にしすぎる)
・自責思考(必要以上に責任を感じてしまう)
・悲観主義(結果を悪くとらえすぎる、自分を過小評価している)
・秩序思考(秩序を重視するあまり、臨機応変な対応ができない)
更に詳しくコンピテンシーの項目を知りたい方は下記をご覧ください。
Step3:新卒、中途採用に使える選考基準の具体例
ここまで選考基準の選定について解説してきました。しかし、いきなり一から選考基準を設定するのは難しそうだとお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は今回、HeaRではこれまでの100社以上の採用コンサルティング経験をもとに、選考基準をまとめたExcelシートを作成いたしました。
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