1. 面接実績から競合整理
実際にこれまで面接をしてきた中で、競合した企業を上位5~7社程度リストアップします。過去の全候補者ベースで整理するとキリがないので、
・直近1年間
・採用ターゲットに近い方(内定を出した方や最終面接まで繋がった方)
の2軸で絞ってみると、ある程度整理しやすいです。
その上で、それらの採用競合ごとにおける内定後勝敗率、主な勝ち要因、主な負け要因の整理していきましょう。並行して、自社視点で自信を持って言える「そのポジションで働く上での魅力や強み」を整理しておくとその後のフローを進めやすいです。
2. 採用競合のオンラインリサーチ
ここでは、これまでの面接では抽出出来なかった競合情報を客観的に掴みにいきます。主に取り掛かるべき具体的な内容は以下3つです。
・口コミサイト(OPEN WORK、転職会議、エン ライトハウス)
・採用競合各社のHP(採用サイト、コーポレートHP)
・採用競合各社の採用求人媒体
口コミサイトからは、在籍者や離職者からの一次情報として競合の4Pをキャッチアップしていきましょう。なるべく直近1~2年間の口コミを参考することで、現状とのズレは防ぐことが出来ます。
採用サイトや求人媒体からは、競合の打ち出しに注目しましょう。仮説として「どういうターゲットを狙っていて」「どんな要素で訴求しようとしているのか」この2点を整理しておくと、ポジショニングマップの作成をスムーズに進めやすいです。
3. ポジショニングマップ設計
ポジショニングマップのアウトプットはこのような内容になります。
ポジショニングマップを作成する上で一番の肝になってくるのが2軸の選定です。軸の決め方で全てが決まるので、まずは大前提として下記3つは絶対に守りましょう!
a. 求職者が入社の意思決定を決める要素
ポジショニングの軸を考える際に採用競合と差を付けようと思い、求職者さんの気持ちを無視して奇抜な軸を選んでしまうケースが多いです。(例えば「 青春の大人になりたい軸」など。)そうなると、市場でナンバーワンにはなれますが求職者さんが求める要素ではなかったということに陥ってしまいます。あくまで求職者さんが入社を決める要素が軸でなければいけません。その要素が複数あるなら特に決め手となるもの2つを選ぶと効果的です。
b. 独立性の高い2軸
軸を2つ選ぶわけですが、この2つの軸は似ているものだとあまり意味はありません。例えばエンジニア採用で「年齢帯」と「開発スキル」を軸に選んだ場合、ほとんどの場合は年齢が高くなるにつれて開発スキルも高まるのが一般的ですよね。片方が高くなれば比例してもう片方も高くなってしまう(要はポジショニングマップが斜め一直線に分布する)と有効なポジショニングマップにならなくなってしまいます。相互関係がなるべくない2軸を選ぶようにしてください。
c. 自社の強みが活かせる
とても有効な軸を見つけたとしても、自社がその軸の先端で上位になれなかったとしたらポジションを取ることはできません。まずは、自社の強みが軸になっているということが必要です。
とはいえ現時点だけの自社に目を向けるのではなく、魅力は作っていくこともできるので、今は市場内のナンバーワンでなくても中長期的に狙えるポジションであれば問題ありません。
軸の選定が難しいという方は下のファクターから考えてみてもいいでしょう。ある程度筋の良いアウトプットに着地しやすいです。
α. 待遇面
ex. 「給料の高さ」「働き方の柔軟さ」「ホワイトさ」
β. 企業規模
ex. 「大手かベンチャーか」「レガシーか否か」「新規事業に関われるか否か」
γ. 事業特性
ex. 「事業の意義強さ」「叶えたい世界観」「上流支援か下流支援か」
δ. 業務の具体性
ex. 「ターゲット顧客が大手かベンチャーか」「1人あたりの担当社数が多いか否か」「スキルを装着するか、活かすか」
4. 各象限のボリュームリサーチ
ここでのアウトプットはこのような内容になります。前提として、絶対に重要なフローというわけではありませんが、「経営陣から採用の方向性に納得してもらう」あるいは「組織を巻き込んで進めていく」ためには、机上の空論ではなく狙いたいマーケットに母集団がいるのかリサーチしておくことが重要です。
各象限におけるボリュームの調べ方は複数ありますが、なるべく求職者さんのパーソナリティやwillを確認できる求人媒体の活用がオススメです。業界、業態、職種、必要スキル等で検索をかけ、アクティブユーザーの上から100名~200名の求職者さんをミクロで確認しにいけると◎です。その上で、各象限にハマるであろう人材の量を掴みにいきましょう。
5. これから必要な打ち出し内容整理
ここでのアウトプットはこのような内容になります。
狙いたいポジションの設定が終われば、ここからはそのポジションを獲得しにいくことが重要です。つまり、ターゲット求職者さんからその通りに自社を認識してもらうための打ち出しを設計していきましょう。
HeaRの例を挙げると、「HRのベンチャーにいきたい!」といった志向性の持ち主でセグメントを定めた場合、その中でも「クライアントの組織に入り込める」「マニュアル化した仕事」の2軸でポジションを狙いに行くと決まりました。
そうすると、まずはどれだけHeaRがクライアントに深く入り込めるのか示す必要があるので、コンサルタント1人あたり担当する平均社数が3~4社であることを強調したり、お客様から求められる深い期待値を訴求していくことが一つの施策になります。マニュアル化した仕事についても同様で、具体的にどんな働き方ができるのかについて、なるべく公開できる範囲のものは全て発信していくような流れです。
6. 現場や経営陣への壁打ち&ブラッシュアップ
あくまでここまでの内容は人事視点の内容が強いため、事実や方向性にズレがないか壁打ち機会を作っておきましょう。ベストはそれぞれのフローで確認を取っておくことですが、最終的に自社がどのようなコンセプトのもとで採用活動を進めていくのかシェアしておくことも大切です。具体的な採用施策について気になる方はこちらの資料を参考にしてみてください!
壁打ちついでに、自社理解によるリファラル採用の促進もできれば一石二鳥です◎
さいごに
採用マーケティングの上流設計について、自社に応用するイメージは出来たでしょうか。「何となく出してみた社員インタビュー記事」や「とりあえず採用目的でTwitter」は全体の設計がなければ、ほとんど何の価値も出さずに終わってしまいます。目の前の採用業務と並行して、形骸化されがちな採用戦略を見直してみてはいかがでしょうか。