採用手法を選ぶ前の採用戦略について
採用手法を選ぶ前に、選ぶための指針や採用活動の基盤となる採用戦略を固めておく必要があります。ここからは、HeaRメソッドに応じた、採用戦略の立て方について6つの工程にわけて解説します。
1.事業戦略と連動した採用計画の立案
人材は、「ヒト・モノ・カネ」と言われる通り欠かせない経営資源のひとつです。事業を成長させていくためにも、そのために必要な能力を持った人材の採用・育成が不可欠になってきます。そのため、事業戦略と採用計画は切っても切れない関係にあり、採用計画を考える際にも事業戦略との連動が必要になります。
事業戦略と連動した採用計画を立てるためには、まず事業戦略や事業の仕組みを理解しましょう。続いて、事業戦略を実現するために必要なスキルの整理を行います。そして、そのスキルを持った人が何人必要なのか、どんなペースで採用していくのかを考えて、採用計画を立てていきます。
2.ペルソナ設計
採用活動でのペルソナは、自社が採用したい人物像のことを指します。
採用施策を打ったり、採用ブランディングを強化するとしても、ペルソナがはっきりしていない場合、万人に向けた当たり障りのないものとなってしまいがち。そうなると、逆に候補者の心に刺さりにくくなってしまう危険性があります。
今採用するべき人物像を明確にすることで、自社の求める人物だけに響く採用活動を行うことができるようになります。
ペルソナは、20代の人事経験者などのように属性だけで決めるものではありません。属性と併せて、今どんな会社で働いていてどんなスキルを持っているのか、キャリアに対する悩みは何かといった具体的な部分まで詳細に設定していくのが特徴です。
3.ポジショニングマップの作成
ポジショニングマップの作成を通して、自社の採用市場での立ち位置を明確にしていきます。ポジショニングマップを作る際は、2軸を設定して4象限で作ることがおすすめです。この時の軸は、自社の強みであり、候補者の入社の意志決定に影響する事柄であり、それぞれの相関関係がない要素を設定しましょう。例えば、「業務の幅×事業の革新性」「組織文化×給与」などです。
4.PoDの設計
候補者に自社を選んでもらうためには、自社の魅力を尖らせることが重要です。
そこで活用したいのが、PoDです。PoDとはPoint of Differenceの略で、候補者が求めているものの他社では提供できていない価値を指します。
ポジショニングマップや社内でのヒアリングなどを通して、PoDを探してみましょう。もし、どうしてもPoDが見つからない場合は、まずPoDを作るところから始めるのが、一見遠回りに見えるかもしれませんが、採用成功への近道となります。
5.ブランディング設計
自社の採用ブランディングにおける設計図を作成します。設計図を作っておくことで、採用ブランディングの方向性の明確化ができるだけでなく、社内での共通認識を得ることができます。
具体的に図にしていく項目は以下の通りです。
- ブランドターゲット(象徴的な候補者像)
- インサイト(候補者の心の琴線に触れるポイント)
- コアバリュー(一言に集約される核となる価値)
- パーソナリティ(人格イメージ)
- ベネフィット(物理的・心理的な便益)
- エビデンス(裏付けとなる事実や根拠)
6.CX戦略の策定
最後に、CX(候補者体験)を設計します。
認知から応募、選考、そして内定・入社といった各フェーズごとの候補者とのタッチポイントひとつひとつにおいて、どんな印象を与えたいのか、そのためにどんな施策を取るのかを決めていきます。
CXの基本的な考え方である、「合否に関わらず『この会社の選考を受けてよかった』と思ってもらえること」を念頭において、丁寧に決めていきましょう。
採用手法についてとその特徴
求人広告
求人広告は長い歴史のある、用いられることがもっとも多いと言ってもいい採用手法です。
転職サイトに自社の求人を掲載することで、応募者を集めていくかたちを取ります。
求人広告のほとんどは、掲載する際に料金が発生する掲載課金型です。そのため、一度の掲載で多数の応募を獲得することもできるためコストを大幅に下げられる可能性がある一方で、掲載しても応募がなくコストがかかっただけとなってしまうこともあります。このほかにも、応募が集まったとしても、自社が求める人物像とズレたマッチ度の低い候補者からばかり応募が集まってしまう可能性もあります。特にカルチャー面やパーソナリティについては注意が必要です。文面から社風やカルチャーが伝わるよう、求人原稿を工夫する必要があるかもしれません。
また、求人広告を掲載する転職サイトには幅広く求人を掲載している「総合型」のサイトと、特定の業界や属性をターゲットにした「特化型」のサイトがあります。前者は「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」、後者は「女の転職」や「Green」などが代表的です。幅広い人材を集めたい場合は総合型を、特定のターゲットに絞りたい場合は特化型を使うなど、自社のニーズに合わせて選定しましょう。
人材紹介
人材紹介は、人材紹介の担当者に自社の採用要件を伝えて、それに合った人を紹介してもらう採用手法です。採用が決定して入社した段階で費用が発生するため、コストを最適化できるのがメリットです。また、候補者対応などの工数も抑えることができます。一方で、成功報酬は年収の3割程度が一般的で、難易度の高いポジションの場合は50%やそれ以上としないと採用が難しいこともあり、採用単価は高くなりがちです。
人材紹介会社も転職サイトと同じく、総合型と特化型の企業に分かれます。自社の求める人材に合わせて、企業選定を行いましょう。
転職フェア
転職フェアとは、転職希望者と直接会うことができる手法です。
「マイナビ転職」や「doda」といった大手転職サイトが主催していることが多いです。総合的な転職フェアのほか、エンジニアや製造業など、職種や業界に特化した転職フェアも行われています。
出展する場合は、人事担当者だけでなく、経営層や現場社員などにも参加してもらうとより効果的です。転職フェア会場にやってきた転職希望者に対して直接アプローチすることで、自社に興味を持ってもらい、応募に繋げます。
直接転職希望者と話すことができるため、社員の人柄や社風に強みがある企業には特におすすめです。
転職フェアに足を運んでいる人材は、ただサイトに登録している人材以上に転職熱度が高い可能性が高く、こうした求職者にアプローチできることがメリットのひとつです。また、その場で簡易的なスクリーニングも行えるため、選考フローを短縮して迅速に採用活動を行うこともできます。
一方で、転職フェアにはブースの打ち出しの考案や設営に工数がかかるほか、当日も呼び込みや転職希望者の対応などに多くの人の工数が必要になります。また、コストも低いとはいえないので、採用予定人数によっては別の手法の方が適している場合があります。
人材派遣
繁忙期など一時的に人が必要な場合は、正社員を探すのではなく、人材派遣を使った方がいいかもしれません。人材派遣はその名の通り、派遣会社から自社が必要な人材を派遣してもらうことです。派遣社員に働いてもらった分だけ料金が発生します。
必要な時間および必要な期間だけ派遣してもらえるだけでなく、即戦力として働いてもらえるため、急な人員不足にも持ってこいの手法です。
専門性が高い人材の場合はそれだけ派遣料金も高くなるため、フリーランスなどに業務委託で依頼した方がコストを抑えられる可能性もあり注意が必要です。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアとは、一般的に企業が所有するメディアのことです。オウンドメディアの例としては、自社ブログが代表的です。そして、オウンドメディアを利用した採用活動を、オウンドメディアリクルーティングと呼びます。英語表記のOwned Media Recruitingの頭文字を取って、ORMとも呼ばれています。
オウンドメディアリクルーティングを行うための方法は大きくわけて2つ。採用ブログや写真や動画を通じて自社のカルチャーや価値観、具体的な仕事のイメージを伝えることと、自社の採用サイト内の求人をindeedと連携させて母集団形成を行うことです。
オウンドメディアに掲載するコンテンツは、いわゆる求人票であるジョブディスクリプション(職務記述書)と、カルチャーや自社で働く上での魅力、会社の価値観やビジョンを発信するためのシェアードバリューコンテンツに分かれますが、オウンドメディアリクルーティングにおいて重要なのは、後者のシェアードバリューリクルーティングです。
また、求人票を公開するといっても、転職サイトとは効果が大きく異なります。
Web上に求人情報を掲載するという点については同じですが、転職サイトは各媒体ごとに掲載できる項目やその文字数などのフォーマットが決まっているため、自社の伝えたいことを余すことなく伝えるのは難しいです。例えば、会社の価値観や先輩社員の仕事に対する姿勢、社内イベントの様子といったことは伝えきれないことがほとんどでしょう。
しかし、オウンドメディアであれば、文字数も書く内容も自社で自由に決めることができます。そのため、自社の伝えたいことを伝えたいだけ伝えることが可能です。
また、自社側で削除をしない限り記事や求人情報を掲載し続けられるのもオウンドメディアリクルーティングのメリットのひとつです。運用を長く続ければ続けるほどメディアとしての力を増すため、採用活動を成功させるための大きな助けとなります。
このほかにも、オウンドメディアリクルーティングには、会社の価値観などの深い情報を伝えられるため、自社とマッチした人からの応募を集めやすいというメリットや、コンテンツを通じて社員も、同僚の知らなかった一面や経営層の想いを知ることができ、エンゲージメント向上に繋がるといったメリットもあります。
一方で、運用に社員の協力や一定の工数が欠かせないこと、短期的な効果が期待できないことはデメリットです。短期的に人材を採用したい場合は、即効性を期待できる人材紹介などと組み合わせて運用しましょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業は応募が来るのをひたすら待つタイプの求人広告や人材紹介に対して、企業側がスカウトを送っていくのが特徴的です。そのため、ダイレクトリクルーティングは“攻め”の採用と呼ばれることも多い採用手法です。
ダイレクトリクルーティングのメリットは、大きく分けて3つ。
ひとつ目は潜在層にアピールできることです。
ダイレクトリクルーティングサービスには、今すぐに転職したいと考えている人のほか、いい会社があれば考えてもいいと思っている人も登録しています。また、市場価値を知りたいといった動機で登録している人も少なくありません。このような、転職をまだ真剣に考えていない転職潜在層に対して、早い段階からアプローチすることができます。
ふたつ目は、より効率のいい採用活動ができること。
応募を集めるタイプの採用手法では自社に合わない人も集まってしまい、そのスクリーニングに想定外に大きな工数がかかってしまうことがあります。
しかしダイレクトリクルーティングの場合は、あらかじめ自社側が選んだ人材のみにスカウトを送ることとなるため、求人広告や人材紹介に比べて応募後の歩留まりが少なく、より最適化された採用活動が実現できます。
最後のメリットは、認知度が低い企業でも成功しやすいことです。
求人広告のような手法では、認知度の低い企業の求人は大手企業やネームバリューのある企業の求人に埋もれてしまい、そもそも見られないこともあります。一方でダイレクトリクルーティングは、候補者にスカウトメッセージを確実に届けることができます。そのため、知名度が低くとも優秀な人材にアプローチしやすい手法と言えるのです。
一方のデメリットは、工数がかかってしまうことです。
ダイレクトリクルーティングには、送信する候補者の選定やスカウト文のカスタマイズなどを行う必要があり、求人広告や人材紹介に比べて工数は大きいです。また、ターゲットの精査やスカウト文の添削など、場合によっては現場の協力も必要になってきます。
ダイレクトリクルーティングをより成功に近付ける方法として、先述のオウンドメディアリクルーティングとの掛け合わせて行うことがあります。
オウンドメディアで発信している、スカウトを送信する候補者と経歴が似ている社員のインタビュー記事をスカウトに添付するなどの試みを行うことで、候補者に自分が活躍できるイメージを持ってもらいやすくなります。その結果、意向醸成に繋がることも。ぜひ組み合わせた運用をおすすめします。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを利用した採用活動のことです。
今やSNSは年齢を問わず多くの人が日常的に使うサービスとなりました。そのため、転職活動をしている人や転職やキャリアについてなにか関心がある層が登録者の中心となる採用媒体に比べて、圧倒的に多くの人材にアプローチすることができます。
ソーシャルネイティブであるZ世代以降の世代の労働人口内の割合は今後増えていく一方であるため、これからはさらに有効な手法となっていくと考えられます。
ソーシャルリクルーティングで使われることの多いSNSは、サービスの利用者自体も多く、主要SNSである「Twitter」「Facebook」「Instagram」の3つです。
ひとつ目のTwitterは、日本で特に愛されているSNSであり、幅広い年齢層に利用されています。ベンチャーやスタートアップの社員やフリーランスを中心に、ビジネス利用されていることも多いので、ソーシャルリクルーティングを始めるのであれば、もっともおすすめしたいSNSです。
拡散性も高いためうまく運用すれば、認知度を高めるのにも効果的です。
ふたつ目のFacebookは、30代〜50代とミドル・ハイクラスの利用者が多いです。ミドル以上の人材を求めている企業の場合は運用をおすすめしますが、逆に新卒や20代の採用にはアンマッチな媒体でもあります。
最後に紹介するInstagramは若年層を中心に人気のSNSです。画像や動画を中心とした視覚で訴えかける訴求をするのに適しています。オフィスの雰囲気や実際に働いている様子などを一目で伝えることができます。Instagramでは、いわゆる“映える”写真が好かれる傾向にあるため、運用の際は自社の魅せ方を強化する必要がありそうです。
使用する媒体を問わず、ソーシャルリクルーティングでは一朝一夕に効果を出すことは難しく、じっくりアカウントを育てていくことが必要になってきます。アカウントを育てるためには、継続的な投稿が欠かせません。根気のいる施策となってくるので、運用しやすい仕組み化や短期的な目標を作って進捗を目に見えるようにするなどの工夫をしておくのがおすすめです。
また、SNSはもともとコミュニケーションツールであるため、一方的な発信だけでなく、コミュニケーションを積極的に行うのが、ソーシャルリクルーティング成功のコツです。
最近のトレンド
カジュアル面談
カジュアル面談とは、面接のような選考ではなく、企業と応募者の相互理解を深めるために実施する面談のことです。合否を決めるものではなく、もっとも理想的なゴールは双方が「この会社(人)と長期的に関わりを持っていきたい」と思えることです。
ダイレクトリクルーティングの台頭や採用難易度の高まりを背景に、カジュアル面談を導入する企業は日に日に増えていっています。
カジュアル面談についてよく挙がる質問として「面接との違いは何ですか?」というものがあります。カジュアル面談と面接では、場の持つ意味合いが大きく異なります。面接は、求職者が企業を見極めるという意味もありますが、どちらかというと「企業が求職者を見極めるための場」です。一方、カジュアル面談は「お互いが自分(自社)の状況を共有しあい、双方合意のもと、ネクストアクションを決めるための場」です。
カジュアル面談では、企業に応募しなければいけない面接と違ってハードルが低い分、転職を考えている人だけに限らず、さまざまな人材と接点を持つことができます。
そのため、これまでの採用手法では接点を持てなかった優秀な人材とも対話の機会を得られる可能性があります。こうした人材に、カジュアル面談後も自社の情報を定期的に送るなどの継続的なアプローチを行うことで、いざ転職を決意した時にまっさきに思い出してもらえることもあります。
また、カジュアル面談の場合は候補者も気楽な気持ちで参加しているため、候補者のキャリア課題や次の仕事に求めることなど率直な声を伝えてもらいやすいです。特に、食事などをしながらの面談ではその傾向が強いです。また、選考に進んでからでは聞きにくいことも質問してもらえるので、深い相互理解に繋がります。その結果、ミスマッチ防止にも大きく寄与するのです。
カジュアル面談を実施する際は、企業側が場をリードするのがポイントです。
カジュアル面談に来た候補者が、自社のことを深く理解しているケースはまれです。そのため、まずは理解してもらうために、こちらから自社の情報提供をする必要があります。また、情報提供をしながら、「こういった業務に関わったことはありますか?」などの質問を挟んでいくと、求職者の仕事内容なども面接っぽくならない自然な形で聞き出すことができます。
また、できるだけ候補者と似た経歴や同じ職種のメンバーをアサインするのがおすすめです。これは、同じ職種や経歴が似ているメンバーの方が、より共感を生みやすく、本音で話をしやすい傾向にあるためです。
リファラル採用
リファラル採用とは、社員に友人や知人を紹介してもらって行う採用手法です。ベンチャー企業やスタートアップを中心に取り組む企業も増えてきており、近年注目を集めている採用手法です。
日本には、伝統的に縁故採用というものがありますが、縁故採用とリファラル採用は似て非なるものです。どちらの場合も紹介がきっかけで始まりますが、そのあとの選考やそもそもの紹介者に違いがあります。縁故採用は、代表や役員のような上層部からの紹介をきっかけとすることが多いです。また、基本的には合格前提です。一方リファラル採用の場合は、代表や役員からの紹介というケースもありますが、レイヤーを問わず社員全員が紹介をしていくこととなります。選考についても、通常の応募者同様選考フローに則って行われるため、不合格になることも、もちろんあります。
では、なぜ今リファラル採用が注目されているのでしょうか。
その大きな理由は、採用難易度の高まりとミスマッチの増加です。採用難易度が高まり、通常の採用手法だけでは採用目標を達成するのは難しく、特に優秀層へのアプローチは厳しいです。一方で、リファラル採用であれば、友人の紹介ということで優秀な人材にもグッとアプローチがしやすくなります。また、会社の実態をいい面悪い面を含めて、入社前に伝えらえるのでミスマッチが少なく、離職率も抑えやすくなります。
ただ、リファラル採用にもデメリットはあります。
ひとつは、一気に離職が発生するリスクが高まることです。
紹介者や自分からのリファラルで入社した社員が離職した場合、残された側としては気まずさを抱えてしまい、それが積み重なって離職となってしまうかもしれません。また、退職した紹介者の話を聞いていて、自分も転職を考え始めるなど芋づる式に転職が発生することもありえます。
もうひとつは、社内の同質性が高まることです。
友人や知人を紹介するという仕組み上、どうしても社員と似た属性や性格の人が集まりがちです。似た人材が増えることは調和という意味ではよいですが、危機やトラブルには弱くなってしまういわば諸刃の剣です。同質性が高まりすぎないように、何らかの工夫は設けておいた方がよいかもしれません。
採用ピッチ資料の作成
採用ピッチ資料とは、採用に特化した会社紹介資料です。
事業内容やカルチャーなどの紹介、募集ポジションの概要や選考フローなどが記載されていることが多いです。また、企業のよい面だけではなく、課題も含めたありのままを伝えることを目的としています。
採用ピッチ資料は、スクリーニングを行ったりミスマッチを防いだりする上で極めて大きな効果を発揮します。例えば、候補者に採用ピッチ資料を面接前に共有して理解を深めてもらうことで、事前に自社とマッチしない人材のスクリーニングを行うことができます。
実際にHeaRでも、採用ピッチ資料をお送りした方のうち、2-3割の方から辞退をいただくこともありました。このように、候補者に面接前に「この会社は自分に合った会社なのか」を判断してもらうことができ、お互いの時間を無駄にすることを防ぐことが可能になります。
ただ、採用ピッチ資料で適切に自社のことを伝えられていないと、本来マッチしている方が辞退されてしまったり、逆にスクリーニングがうまくいかなかったりといったことが起きてしまうかもしれません。だからこそ、自社のありのままを伝えていくことが大切なのです。
採用ピッチ資料を利用することで、面接をより中身の濃いものにできるという効果もあります。
採用ピッチ資料を共有していない状態で面接を行う場合、会社説明の時間が一定程度発生します。しかし、採用ピッチ資料を送付しておくことで、この時間を短縮し、候補者への深堀に時間を使うことができ、より深く候補者を理解することに繋がります。また、候補者としても事前に企業を理解した上で選考に臨めるので、より深い内容を質問することができます。このように、相互理解を深めてお互いにより精度の高いな見極めをするためにも、採用ピッチ資料は大きな役割を果たします。
候補者に採用ピッチ資料を送付するタイミングにもコツがあります。おすすめしたいのは3日前。1週間前の場合は早すぎて内容を忘れてしまう可能性があり、前日だと時間が足りず目を通せない可能性があるためです。
また、採用ピッチ資料は社内の共通認識を作ることにも寄与します。採用ピッチ資料が無い場合、伝えることがバラバラになってしまいがちで、候補者に伝えるべき情報がきちんと伝えきれないといったことも起こり得ます。採用ピッチ資料があることで、伝えるべき情報を漏れなく伝えることができ、より的確に自社の魅力を訴求できるのです。社内だけでなく、エージェントなど社外の採用パートナーにも共有しておくとよいでしょう。
SNSからのスカウト
若年層を中心に、生活に欠かせないものとなっているSNS。そんなSNSを使ってスカウトを行うのも、最近のトレンドのひとつです。
日本版LinkedInと言われる「YOUTRUST」も盛り上がりをみせており、SNSを利用したスカウトは引き続き活用が進みそうです。
SNSを利用することのメリットのひとつは、候補者の人柄や価値観を一定程度知った上でスカウトメッセージを送ることができることです。特にまだ人数が少ない企業の場合は、カルチャーマッチは重要な要素になってきます。そうしたカルチャーとの親和性を確かめた上でスカウトができると、今注目を集めているのです。
キャリアSNSではない一般的なSNSのなかで特に採用と親和性が高いのがTwitterです。
TwitterのDMにてスカウトメッセージを送る場合は、事前にやり取りをしておき、関係性を作っておきましょう。また、スカウトメッセージと言ってもかしこまりすぎずに、これまでの関係性と地続きのテイストでメッセージを送るのがおすすめです。その後のプロセスとしては、いきなり選考に入るのではなく、カジュアル面談や採用イベントへの参加といった気軽に参加できるものを用意しておくとうまくいきやすいです。
まとめ
今回は、求職者ニーズの変化やIT化に伴って多様化が進んでいる、採用手法を一挙紹介しました。
採用手法には、求人広告や人材紹介のようなこれまで長く活用されていた“テッパン”とも言える採用手法から、“攻めの採用”と言われるダイレクトリクルーティングに、カジュアル面談やソーシャルリクルーティングのような比較的新しいものまで、数多くの手法があります。
ここまで紹介してきたように、それぞれに特徴や強み弱みがあるため、採用担当者には、こうした多岐にわたる採用手法のなかから、それらを把握した上で今の自社に最適なものを選ぶことが求められます。また、適切な採用手法を見つけるためには、その判断軸とするための採用戦略がしっかりと固まっていることが重要になってきます。場合によっては、採用手法を見直すだけでなく、採用戦略の再構築から始めた方がよいケースもあります。
HeaRでは、100社以上の採用コンサルティングを通じて、さまざまな企業さまの採用戦略の立案を行ってきました。また、採用手法選びのアドバイスやその後の運用の経験も豊富です。
もし、採用手法選びや採用戦略についてお悩みの場合は、ぜひ一度HeaRまでご相談ください。