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オンボーディング(on boarding)とは?メリットや設計方法について解説
2022-12-05

オンボーディング(on boarding)とは?メリットや設計方法について解説

監修者

HeaR株式会社 代表取締役 大上 諒
2016年、コンテンツマーケティング支援のサムライト株式会社に入社。同社で30社以上のメディア運営に携わったのち、新規事業の責任者として複数の事業立ち上げに従事。
2018年にHeaRを設立し、累計100社以上の採用支援に関わる。「青春の大人を増やす」をミッションに複数のHRサービスを展開中。

編集者

HeaR株式会社 編集部
採用のプロフェッショナルが複数在籍し、採用戦略・ブランディングから実行までを一貫で手がけるHeaR株式会社。
著者の詳しいプロフィール

目次

オンボーディングとは?

人事領域におけるオンボーディングとは、新しく採用した社員が職場に定着し一戦力となるまでの受け入れプロセスのことを指します。

「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉で、人事領域だけでなく、カスタマーサクセス領域でも使われている言葉です。カスタマーサクセス領域におけるオンボーディングとは、新しい顧客に対し、そのサービスをより満足度高く利用できるようサポートしつつ、継続的な利用を促すための一連のプロセスのことを指しています。このように、人事においてもカスタマーサクセスにおいても、新入社員や新規顧客をうまく軌道に乗せるといった意味合いで使われている言葉です。

採用難が続く昨今、社員の早期離職が与える企業へのダメージはこれまで以上に高まっています。新入社員は、入社したての頃は組織風土や業務内容にギャップを感じていることが多いです。それをケアできずにいると小さな違和感が徐々に膨らみ、離職の原因となってしまうことがあります。こういった事態を防ぐための手法のひとつとして、オンボーディングは注目されているのです。

今回の記事では、オンボーディングの効果から、設計の仕方まで幅広く紹介します。

オンボーディングの目的や効果

オンボーディングとは、そもそも何のために行われるものなのでしょうか。ここからは、オンボーディングを行う4つの目的と期待できる効果について解説します。

早期離職の防止

新しく会社に入ると、業務の進め方や社内の人間関係など、適応しなければならないことが多くあります。また、チャットツールでのやり取りや会社ごとの些細な習慣など、いわゆる文化と言われる面でも入社してはじめてわかることはたくさんあります。そしてそのなかで、「入る前はこう思っていたけれど実際は違っていた」と感じる部分も出てくることでしょう。

こうした入社時のギャップは、一つひとつは小さなもので、誰かに話せばすぐに解消できるようなものだったとしても、誰にも言えずに抱えていると次第に大きなストレスとなり、早期離職に繋がってしまうことがあります。

このような場合でも、オンボーディングをきちんと行い、その違和感を他者に伝えたり周囲がケアしたりできる環境を作ることで、離職リスクを小さくすることができるのです。

また、オンボーディングで先輩社員と接することがモチベーション向上に繋がり、それにより離職リスクが低下するという効果もあります。

早期立ち上がりの実現

仕事を円滑に進める上では、業務内容に関するスキルはもちろんですが、社内のシステムや組織ルールといった情報も重要になってきます。また、物事を動かすときのキーマンが誰かを知っておくなどの社内の人間関係に関する情報も大切です。ほかにも、上司や同僚の仕事の癖や強み弱みなども知っておくと、よりスムーズに仕事が進められるでしょう。

オンボーディングを通じて、通常ならば会社で働きながら身に付けていくしかないそういった組織の情報を、先輩社員たちに教えてもらうことができます。このように組織の情報を初期の段階で知っておくことで、業務を覚えたり仕事に慣れたりすることに新入社員のリソースを集中させることができ、早期立ち上がりを実現できるのです。

また、立ち上がりが早く仕事をうまく回せられるようになれば、新入社員が自分に自信が持て、早期離職もしにくくなることが予想できます。

教育格差の防止

所属する部署ごとに独自で研修やOJTを行う場合、部署や研修担当者によってバラつきがあり、教育格差に繋がってしまう恐れがあります。そうなると、新入社員の立ち上がりにも差が出てしまいます。立ち上がりに差が出ることは、生産性の観点からもあまりよくはありませんが、同期入社の社員と比べて自分がうまく行っていないことに落ち込んでモチベーションが下がる、最悪の場合は離職するといったことも考えられます。

最初に人事部が主体で基礎的なオンボーディングを行うことで、このような教育格差は小さくすることが可能です。特に新卒社員の場合は、社会人としての基礎的なビジネスマナーなど全員共通で教えられる項目も多いため、積極的にオンボーディングを活用することがおすすめです。

エンゲージメント向上

オンボーディングでは、直属の上司やチームの先輩以外の社員がメンターとして関わることも多いです。また、同じ時期に入社した人は一緒にオンボーディングを受けることも多いので、中途社員だとしても同期社員ができやすいです。

このような取り組みを通じて、自分のチーム以外の人とも強固で良質な人間関係を築くことができれば、会社への愛着を高めることができます。こうした取り組みを続ければ、自社に対して愛着を持つエンゲージメントの高い社員が増えていきます。それにより、組織文化や人間関係がさらによくなり、エンゲージメントがさらに高まっていくという好循環を作ることにも繋げられます。

オンボーディングを行うメリット

オンボーディングの実施には4つのメリットがあります。ここでは、オンボーディングのメリットについて、コスト面や組織面などさまざまな観点からお伝えします。

コスト削減 

オンボーディングにより離職率が下がれば、採用費を削減することができます。また、入社後の研修にかかる金銭的コストや人的コストも抑えることができます。

離職が起きると、ただコストが無駄になり余分にかかってしまうだけでなく、無駄になってしまったという想いが社員のモチベーションを下げる一因にもなってしまいます。社員のモチベーションも保ちつつ、コストも下げられるのは、大きなメリットのひとつです。

生産性を高められる

先述の通り、オンボーディングを行うことで仕事の進め方や社内ルールなどを最初に理解でき、新入社員の早期の立ち上がりが実現できます。立ち上がりの早さといっても一人ひとりのレベルではあまり大きな差とならないかもしれませんが、それが長期に続いたり多くの人数をオンボーディングしたりとなると、結果的にオンボーディングを実施していない際よりも大幅に生産性が高まることが期待できます。

定着率の向上

オンボーディングにより、入社後のギャップをケアできたり早期の立ち上がりにより仕事をうまく進められるイメージを新入社員に持ってもらうことができれば、早期離職のリスクを大きく減らすことができます。

また、入社時に手厚くサポートをしてもらえたことで会社へのエンゲージメントも向上。エンゲージメントが高まることで、社員にとって長く働きたい会社となることができ、定着率が高まっていきます。

組織力を高められる

オンボーディングでは、新入社員本人たちだけに会社を受け入れてもらうのではなく、上司や同僚も新入社員たちの個性や特性を受け入れ、お互いを理解し受け入れ合っていくというアプローチを取っていきます。こうした取り組みを行うことで、組織の多様性を担保したまま結束を高めやすいです。これに伴い、組織力は自然と向上していきます。

人材育成力の向上

オンボーディングでは、メンター制度やキャリア相談窓口を用意したり、上司との定期的な面談を行ったりと、さまざまな人事施策が必要になってきます。なかには、新しく行う施策も出てくると思われます。オンボーディングを設計していくなかでは、新しい施策に取り組んだりこれまでの施策をアップデートすることとなることが多く、それに伴い社内の人材育成力も向上させることができます。

オンボーディングの設計について

オンボーディングをこれから始める企業の場合、オンボーディングをどうやって設計すればわからないという企業さまもいらっしゃるかと思います。本章では、オンボーディングの設計プロセスと、設計の際に気を付けるべきポイントを紹介します。

目標設定

オンボーディングにより何を目指すのかがはっきりしていないと、施策がバラバラでよくわからないプログラムとなってしまう危険性があります。まずは、「オンボーディングが終わったときに新入社員にどうなっていてほしいか」「何ができるようになってほしいか」ということを決めておきましょう。この時のゴール設定は、業務に関するものだけではなく人間関係や職場環境に関することも設定しておくのがおすすめです。

プログラム内容の選定

続いては目標に設定した事柄をもとに、どんなプログラムをオンボーディングで行うのかを決めていきます。オンボーディングは一般的には一年ほどかけて中長期的に行っていくことが多いです。一年間全体のプランを立てつつ、1ヶ月後や3ヶ月後といった中間地点にどうなっていることを目指すのかという小さな目標も併せて決めていきます。

研修やランチミーティングといった施策だけでなく、それに必要な人員やアサインするメンバーなども仮でもいいので細かく決めておくと、運用がスムーズになるのでおすすめです。

実行

新入社員が入ってきたら、いよいよ実行です。

プランを立てているとは言っても、人が相手のことなので思わぬ要望やトラブルがあり、計画通りにうまく運ばないこともあります。オンボーディングを始めたばかりの頃は特にその傾向が強いです。そんな時に、無理にプラン通りに運用しようとすると新入社員のエンゲージメントが逆に低下してしまうことも。新入社員の意見に耳を傾けながら、柔軟に運用していきましょう。

また、オンボーディング中に出てきたフィードバックや意見は、まとめて記録しておくと検証の際に便利です。

検証と見直し

オンボーディングは一年程度と長いスパンで取り組む施策です。そのため、オンボーディングプログラムがすべて終わってから検証したのでは、検証も膨大なものになります。また、それまでに新入社員が入ってくることもあるため、3ヶ月に一度程度、プログラムの途中で検証をしていくのがおすすめです。

オンボーディング中に新入社員から出た意見や、オンボーディングによる効果を検証しつつ、よりよいプログラムとなるようブラッシュアップしていきましょう。

オンボーディング設計の際のポイント

事前準備を確実に行う

設計のステップでも解説したとおり、オンボーディングには、目標設定やプログラム設計など入念な事前準備が必要になります。そのほかにも、資料やマニュアルの作成やパソコンなどのツール設定などもしなくてはいけません。

新入社員が入社後から万全の態勢でオンボーディングに取り組めるよう、準備は確実に行っておきましょう。

人間関係へのフォローも忘れない

オンボーディングは業務に関するキャッチアップだけが目的ではなく、新入社員が職場の人間関係に馴染むことも目的のひとつです。

そのため、メンター制度や他のチームとのランチなど、人間関係を円滑に進められる施策も用意しておくのがおすすめです。

インプット偏重にならないように注意

新入社員、とくに新卒社員には、成功体験を積んで自分は「仕事ができる」という自信を持ってもらうことが大切です。インプットだけではそういった成功体験を作ることが難しいです。そのため、オンボーディングプログラムには、ただ聞くタイプの研修だけでなく、コードを書いたりプレゼンをしたりなどのアウトプットを含んだプログラムを混ぜるとよいでしょう。

まとめ

今回は、採用後の定着のための施策として注目度の高いオンボーディングについてお伝えしました。

採用難が続くなかで、せっかく採用できた人材が早期離職してしまわないためにも、オンボーディングへ取り組むことの重要度は日に日に高まっています。

オンボーディングには、早期離職を防ぐという効果だけでなく、エンゲージメント向上やコスト削減、会社全体の組織力の向上などさまざまなメリットがあります。

オンボーディングを設計する際は、まず目標設定を行い、そこからプログラムを決定し実行します。実行後も検証を重ね、どんどんプログラムをアップグレードしていくことがオンボーディングを成功させるコツです。新入社員は、これから自社の大きな力となるかもしれない重要な人材です。新入社員に「入社してよかった」と思ってもらえるよう、丁寧にオンボーディングを設計していきましょう。

HeaRでは、これまで100社以上の採用コンサルティングを行っております。

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