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エンジニアのポテンシャル採用とは?経験者採用との比較やメリットを解説
2022-09-19

エンジニアのポテンシャル採用とは?経験者採用との比較やメリットを解説

監修者

HeaR株式会社 代表取締役 大上 諒
2016年、コンテンツマーケティング支援のサムライト株式会社に入社。同社で30社以上のメディア運営に携わったのち、新規事業の責任者として複数の事業立ち上げに従事。
2018年にHeaRを設立し、累計100社以上の採用支援に関わる。「青春の大人を増やす」をミッションに複数のHRサービスを展開中。

編集者

HeaR株式会社 編集部
採用のプロフェッショナルが複数在籍し、採用戦略・ブランディングから実行までを一貫で手がけるHeaR株式会社。
著者の詳しいプロフィール

目次

エンジニアのポテンシャル採用について

ポテンシャル採用とは

ポテンシャル採用とは、候補者のスキルや経験ではなく、人柄や資質といった潜在能力を見て採用する採用方法のことです。

この意味では新卒採用もポテンシャル採用ですが、新卒採用がポテンシャル採用と呼ばれることはあまりありません。中途採用でスキルを重視しない場合にポテンシャル採用と呼ばれることがほとんどです。

また、ポテンシャル採用という名前自体には特に若者を採用するという意味はありませんが、一般的には第二新卒や20代の若年層がターゲットとなることが多いです。

エンジニアのような採用が難しい職種の採用でよく取り入れられていますが、カスタマーサクセスのような経験者が少ない新しい職種でも用いられることがあります。

経験やスキルがない人材を採用するため、即戦力としての活躍を期待するのではなく、長い目で見て育てていくことを念頭に置いた採用手法です。

また、スキルのような明確な指標がないため、よくも悪くも入社後の活躍を予測するのが難しいのも特徴のひとつです。大きく飛躍する可能性もあるが、残念ながら逆のパターンもありえます。経験とスキルを重視する通常の中途採用と比べて、採用時の見極めの重要度が大きい手法と言えるでしょう。

エンジニアのポテンシャル採用が注目されている理由

なぜ今、エンジニア採用においてポテンシャル採用が注目されているのでしょうか。4つの理由を紹介します。

エンジニア人材不足が深刻化

IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する予測が立っています。最小でも16.4万人が不足すると予測されており、十万人〜数十万人規模のエンジニア不足が生じることとなります。

こうした状況を受け、少しでもエンジニアを確保しようとポテンシャル採用を視野に入れる企業が増えてきているのです。

エンジニアの転職意欲の変化

LAPRAS社がエンジニアに対して実施したアンケート調査によると、「今はまったく転職を考えていない」という回答が2021年に比べて8pt増加していました。それに連動して、「転職活動をしている」「転職を考えていて、情報収集をしている」と回答した人も減少しています。

【エンジニア約1000名にキャリアアンケート調査】副業率は前年よりも低下し、転職回数が増加、エンジニアの3人に2人は転職経験あり

このように現在活躍しているエンジニアの転職意欲が落ちてきており、それならばとポテンシャル層にも採用ターゲットを広げる企業が増えてきています。

働き方の多様化

コロナ禍を機に広まったリモートワークを追い風に、フリーランスや副業、パラレルワークなど働き方の多様化が進んでいます。

特にPCがあればどこでも不自由なく仕事をしやすいエンジニアの場合は特に、この傾向が顕著に現れています。そのため経験者の中には、そもそも次のキャリアではどこかの正社員になることを考えていないという人も一定数います。

こうしたなかで社員としてエンジニアを採用するために、企業がポテンシャル人材にも目を

向け始めているのです。

企業の求人内容と経験者の求める条件が合わない

年々エンジニアの需要は高まっており、エンジニアを採用するために給与や待遇を改善する企業も増えてきました。それに連動して、エンジニアが求める給与や待遇の基準値も上がってきています。

とはいえ、エンジニアが希望する水準を超えられる企業ばかりではありません。中小企業や立ち上げ初期のスタートアップなどの場合は特に、エンジニア経験者が求める条件を出すのが難しい場合もあるでしょう。

一方、ポテンシャル人材は経験者に比べて求める条件が低い傾向にあるため、採用しやすい側面があります。このことも、ポテンシャル採用が注目を集める一因となっています。

経験者採用と比較した時のポテンシャル採用のメリット

採用コストを抑えられる

現在、エンジニア経験者は引く手あまたです。経験者を採用しようと思うと単一の採用手法だけでは難しく、ほかの職種に比べて採用媒体にかかるコストが増える可能性が高いです。また、エージェントに依頼するとしても、他社もエンジニアを求めるなかで自社に注力してもらおうとするとフィーを高くせざるを得ないこともあるかもしれません。

また、採用が難しい分、工数などの人的コストも大きくなってきます。

その点ポテンシャル採用であれば経験者に比べれると難易度は高くないため、こうしたコストを抑えて採用できる可能性が高いです。

採用難易度が低い

エンジニアのような専門職の場合、「エンジニアになりたいけど経験がないと採用してもらえない…」と悩んでいる層も意外といます。ポテンシャル採用を打ち出すことで、このような層からの応募を集めやすくなります。

また、ポテンシャル採用を積極的に行っている企業は経験者採用を行っている企業に比べて少ないこともあり、競争率という意味でも、採用難易度が相対的に低くなります。

組織の若返りに有効

現在の日本の平均年齢はなんと48.6歳。この数値からもわかるように高齢化が進む中、企業内の人材の年齢層も高くなってきています。

しかし組織全体として特定の年代に人が集まり多様性が無くなっていくと、イノベーションが起きにくくなったり判断が偏ったりしてしまう危険性があります。また、年代が同じだとライフイベントの時期も重なるため、中核メンバー層が一気に薄くなってしまうリスクもあります。

こうしたことを防ぐためにもポテンシャル採用は有効です。ポテンシャル採用により、経験の浅い若手を集めやすくなり、組織の若返りと年齢層の分散を図れるのです。

隠れた優秀な人を採用できる

現時点ではスキルがなかったとしても、磨けば強い輝きを放つダイヤモンドの原石のような人もなかには存在します。しかし、経験者のみを採用していたのではこういった人と出会うのは難しいでしょう。

また、未経験でもエンジニアにチャレンジしようとする人は成長意欲や学習意欲が高い人が多いです。このような意欲の高い人に出会えるのもポテンシャル採用のよい点です。

経験がないために現在は活躍できていないものの、大きな可能性を秘めた人に出会える採用手法と言えるでしょう。

経験者採用と比較した時のポテンシャル採用のデメリット

研修・育成に時間がかかる

経験がない分、独り立ちまでには経験者に比べて長い時間を要します。まったく知識のない人を採用して言語の勉強から始めるのか、言語の習得は一定できているものの実務経験がない人を採用していくのかによって、かかる時間は異なりますが、どちらにせよ自社で育てていく心づもりが必要になります。

緊急に人手が足りていないという場合にポテンシャル採用をしてしまうと、成長を必要以上に焦ってしまい、採用された側としてもした側としてもあまりよい結果にならないことが予測できるため、余裕を持って育成できるタイミングでポテンシャル採用を行いましょう。

ミスマッチの可能性が高まる

スキルや経験というわかりやすい判断軸がなく、ミスマッチが生じやすいのがポテンシャル採用です。資質や人柄をもとに成長可能性を期待して採用する手法のため、ある種賭けのような要素も強く、見極めが上手くいかずに期待通りの活躍を得られないケースもあります。

そのため、経験者採用以上に見極めには注意が必要です。使用する言語について勉強をしてもらった上で、その内容を簡単にテストしてみるなど、エンジニアとしての適性を定量的に見るための試みをしてみるのもよいかもしれません。

選考軸が曖昧になる危険性

ポテンシャル採用で見る項目は、資質や人柄といった主観的な要素を多く含むものが中心です。そのため、ほしい人物像やどんな基準で求める人物であると判断するのかといった選考軸を明確に定めておかないと、曖昧に「なんとなく合いそうだから」という理由で選考が進んでしまう危険性があります。

選考軸が曖昧になってしまうと、ミスマッチや早期離職の可能性も高まってしまいます。そうならないよう、選考軸は明確にした上でポテンシャル採用に取り組みましょう。

早期退職の危険性が高い

ポテンシャル採用の場合、エンジニアの実務経験があるわけではないため、「自分に向いていると思っていたけどやってみたら違っていた」と思う可能性があります。また、スキルがなかなか身につかずに挫折感を持ち、早期離職に繋がってしまうこともあります。

入社後は研修中のフォローをこまめに行うほか、採用前に現場のエンジニアと面談を設定し、大変なことや実状などを聞く機会を設けるなど「思っていたのと違った」を防ぐ施策を用意しておくのがおすすめです。

エンジニアのポテンシャル採用を成功させるポイント 

基準を明確にする

ポテンシャル採用も経験者採用と同じく、採用基準を明確化することがまず大切です。

この基準が曖昧だと、「なんとなく」の採用活動になってしまいます。

何をもって活躍可能性が高いと判断するのか、自社が求める資質とはどんなものかといった事柄を具体的かつ明確に決めておきましょう。また、決めた基準を面接シートなどにまとめておくと、面接官も判断がしやすいです。

適切な媒体を選定する

エンジニア経験者を採用するために使っていた媒体でそのままポテンシャル採用をすることもできますが、媒体によってはポテンシャル人材があまりいないケースもあります。

ポテンシャル採用をするのであれば、若年層や第二新卒が多く使っている媒体を選定するのがおすすめです。

また、エンジニアの一日の流れや同僚の雰囲気がよくわからず不安に思う候補者もいるので、そういった一般的には求人票に書かれない事柄も発信できる媒体を利用するとよいです。

候補者のキャリアビジョンを確認する

未経験の職種に挑戦することもあり、ポテンシャル人材は今後のキャリアについてこだわりや強い想いを持っていることが多いです。

その想いゆえに、自分のしたいことが実現できそうにないとなると離職してしまう可能性が高いです。

キャリア展望のミスマッチが起きないよう、選考の中でキャリアビジョンを聞き、すり合わせを行っておきましょう。

教育体制を整備する

ポテンシャル採用をするのであれば、必ず準備しなければならないのが教育体制です。教育体制が十分でないと、せっかく優秀な人材を採用できたとしてもポテンシャルを引き出しきれないかもしれません。

また、ポテンシャル人材は多かれ少なかれ「自分が本当に活躍できるのか」と不安を持っているため、教育体制をきちんと整備しておくことは安心材料となり、入社の意思決定時の後押しにもなります。

自社のみでの教育が難しければ外部のサービスの手を借りるのも一手です。さまざまな手法を駆使し、体制を整えておきましょう。

入社後のフォローを丁寧にする

ポテンシャル採用の場合、はじめての職種にチャレンジするため慣れないことも多く、入社すぐは疲れてしまいがちです。

何か困っていることやストレスになっていることなどを話せる機会を設けておくのがおすすめです。直接の上長の場合は気を遣ってしまうこともあるため、人事や違うチームのメンバーなど少し距離感のある人が話を聞くのがおすすめです。

まとめ 

今回の記事では、エンジニア採用におけるポテンシャル採用について解説しました。

ポテンシャル採用は、困難を極めるエンジニア採用を成功させるための採用手法として、現在注目を集めています。教育体制やフォロー体制の整備などポテンシャル採用だからこそ必要になることもいくつかありますが、その体制を構築する道筋を描ける場合は、採用難を打破するための手法として視野に入れてみてはいかがでしょうか。

即戦力を求める企業さまの場合は取り組むのは難しいかと思いますが、「即戦力でなくとも磨けば光る人材を採用したい」「教育体制があるので経験がなくてもエンジニアとして育て上げられそう」といった企業さまにはおすすめできる方法です。

HeaRにはこれまでの100社以上への採用コンサルティングを通して培った、エンジニア採用の知見が豊富にあります。ポテンシャル人材の採用基準の明確化や、媒体選定、選考フロー設計にもお力になれるかと思います。

エンジニア採用にお困りの人事担当者さまや、「ポテンシャル採用に挑戦したいものの経験がなくて上手くいくのか不安…」という採用担当者さまは、ぜひお気軽にHeaRにご相談ください。

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