エンジニアの採用市場について
まず、エンジニアの採用市場について、市場感や背景を理解しておくことが求められます。
ソーシャル、ゲーム、EC、スマホアプリ……と、どんどんITを活用する事業分野が拡大しているのが背景としてあります。
WEBアプリベースのサービスも増えていたり、SaaS、IoTなど、幅広く多くの業界やサービス・商品がIT技術と切り離せないものになってきました。
その結果としてIT技術者を求める業界・会社・市場が大きく増えており、IT技術者の人材不足となっているのです。
特に「働き方改革」を契機とした業務効率化システムや、ソフトウェア、ビジネスサービスなど今後もIT市場の拡大が見込まれます。IT市場の成長に対して、人材の育成・供給が間に合っていない状況になっています。
経済産業省は2019年3月に「IT人材需給に関する調査」と題した報告書を公開しました。この報告書には、IT人材の需要と供給にギャップが生じていることやIT需要構造の変化によってIT人材が不足していることが記されています。また、今後のIT人材不足を補うために、AIの活用や先端技術に対応した人材育成が必要であるとの指摘もされてます。
経済産業省がこの報告書で示したデータによると、2021年のIT人材の不足数は31万人、2022年は32万人と右肩上がりで増え続け、2030年にはその数は約45万人に上ると推測されています。
このような予測を受け、政府は小学校のカリキュラムでプログラミング教育を必修化するなど、将来のIT人材確保へ向けたさまざまな取り組みを実施し始めました。政府が懸念を抱き取り組み始めているということからいかに人材の不足が問題になっているのかがわかります。
エンジニアの採用で失敗する企業のパターン
エンジニアの採用面接において、ジャッジとアトラクトをバランス良く進めていくことで効果的に採用活動を進めることができます。面接といえばジャッジ(見極め)が重要視されがちですが、アトラクト(魅力づけ)も行うことで選考移行率の向上や内定率の向上に繋がります。
1. 明確な採用基準が決まっていない
そもそも面接ごとの採用基準が決まっていない場合、面接官によって判断のばらつきが発生し、見極めの精度が属人化してしまいます。自社が求める人材をしっかり定義し、面接の質問を設計することで明確なジャッジをすることができます。
2. 人事と面接官、面接官同士の連携が取れていない
人事と面接官、面接官同士の連携が取れていないことによって、採用基準を決めたとしても運用がしっかりされておらず、見極めきれない事態が発生します。また情報共有不足にとって、別の面接プロセスで同じようなことを面接官がしてしまうと、候補者観点でも企業の心象が悪くなってしまいます。
3. 面接官が 見極めばかり意識してしまい、候補者にアトラクトできていない
採用基準を明確にすればするほど、ジャッジ基準を意識するあまり、候補者にアトラクトできずに面接プロセスを終えてしまうことがあります。候補者からすると「一方的に質問ばかりされてしまった」という印象になり、辞退に繋がってしまいます。あくまでも面接は相互理解の場として、企業の説明や魅力の訴求も進め、自社が欲しい人材はしっかりアトラクトを進めることが重要です。
面接前に決めるべきエンジニアの採用基準
面接前に現場と人事ですり合わせ、採用基準を決めておくことで「見るべきポイント」が明確になります。特に以下の項目はしっかり決めておくべきです。
①実務スキル
エンジニアの実務として最低限求める条件を設定します
例)
- 言語:Java, Javascript, Python, PHP, Ruby,
- 職種:フロントエンド、バックエンド、フルスタック
- レベル:独学・スクールレベル、メンバーレベル、シニアエンジニア、テックリード
- 所属企業:自社開発か/受託開発、
②ソフトスキル
ソフトスキルとして、最低限求める条件を設定します。
例)
- コミュニケーション:問題なくチーム開発ができるか
- 論理的思考力:物事を端的に組み立てて考えることができるか
- ファシリテーション:開発組織の会議体を前に進めることができるか
- リーダーシップ:リードとして率いることができるか、マネジメントができるか
③志向性
エンジニアとして、自社とフィットする条件を設定
例)
- 理念共感:自社のミッションやビジョンに共感しているか
- キャリア志向:技術を伸ばしていきたいか、マネジメントに興味があるか
- 働き方:ワークライフバランスをしっかり取りたいのか、しっかり働きたいのか
詳しくはこちらをご覧ください!
エンジニアの採用基準を策定し、自社が求めるエンジニアを定義するための7Stepをご紹介!(事例つき!) | HeaR inc.-企業の採用力向上を支援
面接のフローと面接官の決め方
あくまでも一例ですが、面接フローと面接官の決め方についてご説明します。先程設定した採用基準に基づいて面接のフローを決めていくことが大事です。
始めは現場に近いメンバーをアサインし、後半から組織を見るマネジメントレイヤーのメンバーをアサインしていくことでジャッジとアトラクトの精度が上がっていきます。
一方、マネジメントクラスのメンバーは始めにマネジメントクラスと面談をしてアトラクトをした上で、後半に相性を見極める意味合いでメンバーをアサインするのがオススメです。
例①:メンバークラス、リーダークラスの場合
カジュアル面談:エンジニアメンバー(+人事)
一次面接:リードエンジニア
最終面接:CTOもしくはVPoE、EMなど
例②:EM、テックリードクラスの場合
カジュアル面談:CTOもしくはVPoE、EMなど
一次面接:CTOもしくはVPoE、EMなど
最終面接:テックリード、エンジニアのメンバー
エンジニアの採用面接で聞くべき質問26選
続けてエンジニア採用面接で聞くべき質問についてカテゴリーごとにご紹介します。
職種共通して面接で聞かれる質問一覧
- 自己紹介をしてください!
- 転職理由について教えてください!
- 転職先に求めることは、なんですか?
- 選考を進めている会社と、各社を志望する理由について教えてください!
- 志望動機を教えてください!
技術に関する質問
- 今まで経験したことのある技術について教えてください!
- 今まで経験したことある職種や役割について教えて下さい!
- 今までのプロジェクトではどのような役割を担っていましたか?
- 今まで所属していたチームの技術スタックと、技術の選定理由について教えて下さい!
- 経験したことがない技術を扱わなければいけない場合、どのようにキャッチアップをしますか?
- サービスの新機能開発及び機能改善において、工夫されてきたことを教えて下さい!
- 好んでいる開発スタイルはありますか?
- どのような開発環境があれば成果を発揮できますか?」
- ビジネスサイドのメンバーやPdMと協同してコミュニケーションを取りながら開発した経験はありますか?
- 今まで開発した機能で最もインパクトが大きかったものはなんですか?
- 弊社のプロダクトで改善すべき点があれば教えて下さい!
キャリアプランに関する質問一覧
- 扱っている技術について教えて下さい!
- 自己研鑽で学んでいる技術はありますか?
- 今後触ってみたい技術はありますか?
- 仮に弊社に入社したらやってみたい仕事はありますか?
- 最終的にどのようなエンジニアになっていきたいですか?
志向性に関する質問一覧
- 自身のモチベーションをどのように維持していますか?
- 困難なことがあった時に、どのように乗り越えますか?
- 緊急ではないけれども重要な仕事にはどのように取り組みますか?
- チームメンバーに生産性が上がらないエンジニアメンバーがいたら、どうしますか?
- 会社の方針や周囲の人と意見が異なった場合、どのように対処しますか?
求める待遇や志望度を確認する質問一覧
- リモート勤務の希望はありますか?
- 他社の選考状況について教えて下さい!
- いつまでに意思決定したいと考えていますか?
- 理想の希望年収と最低希望年収について教えて下さい!
- 入社可能な時期はいつですか?
面接の時にアトラクトをするポイント
エンジニア採用市場は、激化しています。優秀なエンジニアであればあるほど、多くの企業から声がかかる時代です。そのためジャッジだけではなく、アトラクトもしっかり進めることが大事です。
まず、アトラクトの時に意識するべきポイントについてご紹介します。
1. 自社のミッション、ビジョン、バリューについて伝える
自分が関わるプロダクトがどう社会課題に繋がっているのか、気になるエンジニアも多いです。自社のミッション、ビジョンから自社が目指している世界について伝えることで魅力に繋がります。またどのようなバリュー、行動指針を持っている会社かどうかという点も開発しやすさに影響するため、非常に大事なポイントです。
2. 関わるプロダクトの魅力について伝える
「何を作るのか」という点は、最もエンジニアが気になるポイントの1つです。どういったプロダクトなのか、なぜそのプロダクトにしたのか、現在のプロダクトの開発状況はどのような状況か、今後のプロダクト戦略をどう考えているのか、戦略と戦術に納得感があってこそ、「プロダクトに関わりたい!」と思っていただくことができます。
3. 働く人の魅力について伝える
「誰と働くのか」という点も大事です。優秀なエンジニアは成長意欲/向上心が高く、どのようなエンジニアと共に働き、スキルアップができるのか、という点も気になっています。そのため必要に応じて、一緒に働く現場メンバーとの面談や会食をセッティングすることなども効果的な方法です。
4. 働き方や福利厚生の魅力につて伝える
開発環境が整っているかどうかという点も副次的に気になってくるポイントです。リモートの制度やフレックスタイム制度などがあり、自由な働き方を実現している会社は有利です。また勉強会やセミナー、書籍購入の補助があると、自己研鑽に積極的なエンジニアにとって、魅力に感じられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エンジニアの質問設計について正しく理解し、自社の採用力を高めていきましょう。
特にエンジニアのような専門職種は人事だけで質問設計をすることが非常に難易度が高くなってしまいます。CTOや現場のメンバーを積極的に巻き込みながら、「自社が本当に求める人材とはどういったエンジニアをどう見極めるべきなのか」しっかりと定義をすることが大事です。
始めは時間がかかってしまいますが、この採用基準の定義と質問設計をしっかりできるかどうかで、選考通過率が変わり、最終的には採用成功する確率が高まります。
エンジニアの知識が豊富なのは当然現場のメンバーですが、採用面でリードするのは人事及び採用担当の役割です。しかしエンジニアが未経験でどういう風に推進していけば良いのか、迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
HeaRではエンジニア採用に精通したコンサルタントが多く在籍しており、エンジニア採用独自のノウハウを持っております。
本記事をお読みいただき、エンジニア採用戦略の立案方法、質問設計の方法や運用方法などについてもっと知りたいと思って頂いた方は、ぜひHeaRにご相談ください!
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